“神通力”弱まる菅氏中心「官邸チーム」、進次郎氏の官房副長官抜擢で反撃か 屋山氏「首相の責任が大きい」

官邸の守護神・菅氏は、神通力を取り戻せるのか=27日午前

 安倍晋三政権が、袋小路であえいでいる。学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題と、南スーダンPKO(国連平和維持活動)の日報隠蔽問題で、衆参予算委員会の閉会中審査に臨んだが、疑惑払拭には至らなかったのだ。勢いづく野党と左派メディア。2012年の政権奪還以来、菅義偉官房長官を中心に鉄壁の危機管理を誇ってきた「官邸チーム」だが、神通力に陰りが見える。起死回生策としては、小泉進次郎衆院議員を官房副長官に抜擢(ばってき)し、反撃に転じるしかない。

 「首相が昨日、国会で答弁した通りだ」

 菅氏は26日の記者会見で、安倍首相が加計学園の学部新設計画を把握した時期を「1月20日」とした不可解さを追及され、こう繰り返した。この様子は、ニュースやワイドショーで何度も流された。

 日報問題では、稲田朋美防衛相が、陸上自衛隊側からデータ保管の事実を伝えられた際のやりとりを記した「手書きメモ」の存在が報じられた。

 菅氏は会見で、「今、防衛省の中で調査している。そこをしっかり調査すべきだと思う」などと、苦しい説明に追われた。

 安倍官邸の安定は、危機管理や霞が関のコントロールで定評があった菅氏の存在が大きかった。2012年12月の第2次安倍内閣発足以降、安倍首相はほぼ毎日、菅氏と3人の官房副長官、今井尚哉政務秘書官による「正副官房長官会議」を開き、意思疎通を図ってきた。

 ところが、「森友・加計問題」の発覚以降、官邸チームの一糸乱れぬ対応は乱れ、どこか精彩を欠いている。先の閉会中審査の是非をめぐっても、チーム内の意見が分かれたという。

 永田町関係者は「官邸チームは当初、『森友・加計問題』が、ここまで大きくなるとは思っていなかった」といい、続けた。

 「森友問題が一段落したころ、『前川喜平前文科事務次官が加計問題で内部告発する』との情報が入り、官邸チームは激高した。前川氏が、組織的天下りの中心人物で、新宿・歌舞伎町の出会い系バーに出入りして厳重注意した人物だったため、『逆恨みで倒閣運動を仕掛けてきた』と判断した。野党と左派メディアが、前川氏をヒーローのように扱うことにも我慢できなかったようだ」

 官邸チームの強気の対応が、森友問題で、安倍政権に疑問を持ち始めていた一般国民の不信感を加速させた面もある。

 安倍首相は現在、8月3日に断行する内閣改造・自民党役員人事に着手している。お友達人事を排し、「重厚な内閣」を立ち上げる方針で、入閣候補の身体検査を担当しているが、菅氏中心の官邸チームは「神通力」を取り戻せるのか。

 評論家の屋山太郎氏は「あの菅氏がかばえないほどの不祥事・疑惑が噴出して、現在の事態となった。菅氏の失点というよりは、レベルの低い閣僚・お友達をそろえた安倍首相の責任が大きい。佐藤栄作元首相や小泉純一郎元首相は『国会議員要覧』を肌身離さず持ち、常に最適な人材配置を思い描いていた。安倍首相も登用する人間を深く知り、自分の政策を理解し、実行してくれる人物を選ばなければならない」と苦言を呈した。

 内閣支持率が30%未満の「危険水域」に突入する調査もあるなか、官邸チームを刷新するため、「次世代のホープ」である進次郎氏を官房副長官に抜擢する案がある。

 通常、官房副長官は首相の出身派閥から選ばれるが、無派閥の進次郎氏を起用することで「官邸の変化」をアピールできる。進次郎氏は、東日本大震災の復興に力を入れ、エネルギーや農業政策にも持論がある。世論を敏感に受け止めながら直言していけば、長期政権で「おごり」が見えた安倍首相に慎重な判断を促すこともできる。

 憲法改正阻止の狙いもあり、「倒閣モード」に入った野党と左派メディアに対しても、進次郎氏が加わった「官邸チーム」なら強気一辺倒ではない対応も期待できる。若い感性による「しなやかな反撃」というべきか。進次郎氏と菅氏は同じ神奈川県選出で関係は悪くない。

 安倍首相や官邸チームは変われるのか。

 政治評論家の伊藤達美氏は「安倍首相は『寛容と忍耐』という言葉を心に刻むべきだ。胸に自信と誇りを持ちながらも、反省すべきは反省し、謙虚な姿勢で国政に取り組むべきだ」といい、解説した。

 「安倍首相は一連の疑惑について、もっと丁寧に対応すべきだし、稲田氏は速やかに更迭すべきだった。今回は判断のタイミングがすべて『後ずれ』した。高い支持率にあぐらを欠き、政権を奪還したばかりの謙虚な姿勢を失ってしまった。世論は移ろいやすく、理屈では判断しない。権力を持つ者は謙虚でなければならず、そうした姿勢を国民に言葉ではなく、行動で示すしかない」

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