3日改造もオンナ、カネに悪戦苦闘…大物議員“醜聞”脱落 野田聖子氏起用も検討

党役員会に臨む安倍首相(右)、入閣が有力な茂木政調会長(左)=1日午前、永田町の自民党本部

 安倍晋三首相が悪戦苦闘している。3日に断行する内閣改造・自民党役員人事は、30%未満の「危険水域」前後まで下落した内閣支持率に歯止めをかけるため、「脱お友達」で「重厚な布陣」を目指している。1日時点で、茂木敏充政調会長と小野寺五典元防衛相らを重要閣僚で起用する方針を固めたうえ、「反安倍」勢力の一翼を担ってきた野田聖子元総務会長の起用も検討している。このほか、入閣候補の身体検査を徹底的に行ったところ、大物議員を含む数人に「疑惑」「醜聞」が浮上しているという。安倍首相の起死回生人事はうまくいくのか

 「この際、人心一新を図りたい」

 安倍首相は1日朝、自民党本部で開かれた党役員会でこう語り、人事の一任を取り付けた。その後、官邸での閣僚懇談会で「新たな布陣の下、国民の皆さんとともに各般の政策をさらに力強く前に進めていく」と、内閣改造への決意を語った。

 今回の人事で、安倍首相は、麻生太郎副総理兼財務相と菅義偉官房長官、二階俊博幹事長という「政権の骨格」は維持しながら、閣僚経験者や党重鎮を抜擢(ばってき)して、国民に期待感と安心感を与える陣容を模索している。

 1日時点で、前出の茂木、小野寺両氏を重要閣僚で起用する方向で調整に入った。小野寺氏は、南スーダンPKO(国連平和維持活動)の日報問題で混乱した防衛省・自衛隊を立て直す次期防衛相の可能性がある。

 「脱お友達」人事を明確にするため、安倍首相の政策に苦言を呈してきた野田氏や、同郷のライバル(宿敵)である林芳正元防衛相の起用も検討している。公明党の石井啓一国交相は留任し、松山政司参院自民党国対委員長の起用も浮上している。

 一方、自民党で閣僚未経験の「入閣待機組」(=衆院当選5回以上、参院同3回以上)が60人を超えるなか、派閥の領袖クラスによる猟官運動も激しさを増している。

 内閣改造前には通常、候補となった議員らを対象に、カネや女性スキャンダルなどに関する「身体検査」(身辺調査)が行われる。内閣情報調査室を中心に、警察や公安調査庁、国税庁、報道機関などの情報が集められるが、今回はそれを徹底的に行っている。

 「今回の改造は、局面転換のラストチャンスだ。内閣支持率が下落したいま、この人事に失敗すると後がない。安倍首相としては7月末の改造もできたが、身体検査を徹底するために8月上旬まで先送りした。かなり詳細な情報が上がっているようだ」(官邸周辺)

 この中に、大物候補を含めた、複数の醜聞情報があるという。

 永田町関係者は「有力候補に先日、秘書への暴言疑惑が浮上したが、新たに女性問題も取り沙汰されているようだ。『今週発売の週刊誌に出そうだ』という情報まであった。官邸では『組閣後に発覚したら致命的』という認識のため、警戒している」といい、続けた。

 「元官僚の入閣候補にも、後援者筋に疑問が出ているようだ。ただ、他派閥の幹部が、思惑絡みで情報を流しているケースもあった。内閣支持率低下の一因として『高齢女性の支持が急落した』という分析がある。このため、女性閣僚を一定数確保する方針だったが、能力と人望が伴った女性は少ない。『女性閣僚は無理に増やさない』という方向になったと聞く」

  安倍首相には、内閣改造で苦い経験がある。

 2007年夏の参院選で惨敗した安倍首相は「人心一新」を掲げて、同年8月に内閣改造を断行した。だが、遠藤武彦農水相(当時)が組合長を務める農業共済組合が補助金を不正受給していた問題が浮上し、遠藤氏はわずか1週間でスピード辞任した。翌月、安倍内閣は総辞職した。

 今回の内閣改造で、当初は「『政権の骨格』以外は、全員交代もあり得る」(官邸周辺)と言われていたが、ここに来て「同じ轍は踏まない。中規模改造の可能性も出てきた」(同)という見方も流れている。

 政治評論家の小林吉弥氏は「安倍首相は『お友達』や『入閣待機組』『派閥の情実』という候補は完全に外すべきだ。内閣支持率から見て、そういう段階ではない」といい、解説した。

 「内閣改造で局面打開を狙う以上、目玉候補と実力者をうまく配置して、『政策で勝負する』という姿勢を見せる必要がある。ただ、メディアも新閣僚の醜聞を狙っている。もう失敗は許されない。少しでも『危ない』と感じたら候補から切るべきだ。永田町に聖人君子は少ない。実力者は周囲に頼りにされるため、無理をすることもある。慎重の上にも、慎重な人事を行うべきだ」

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