【鈴木哲夫の核心リポート】地味過ぎる内閣改造…安倍首相が仕掛けた“逆サプライズ” 支持率回復へ首相側近「頭を下げた姿見せても限界ある」

第3次安倍・第3次改造内閣。国民の判断は

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 「国民の皆様から大きな不信を招く結果となり、改めて深く反省し、おわび申し上げたい」

 安倍晋三首相は3日、内閣改造後の記者会見で、「加計学園」問題や、南スーダンPKO(国連平和維持活動)部隊の日報問題などで国民に対して陳謝し、何と約8秒間も深々と頭を下げた。異例のことだ。そして、「最優先すべきは経済の再生」と強調し、改造内閣を「結果本位の『仕事人内閣』」と説明した。

 自民党ベテラン議員は、今回の内閣改造を「サプライズなしという、サプライズ」と表現した。

 安倍内閣の支持率低下は深刻を極め、一部マスコミの調査では「危険水域」と呼ばれる30%をついに切った。そうしたなかで、内閣改造は反転攻勢の手掛かりをつかみたい。新人や意外な顔ぶれ、民間からの抜擢(ばってき)など、どんなサプライズがあるかが注目されていた。

 ところが、安倍首相が選んだ顔ぶれは、ほとんどが閣僚経験者で、一言で言えば「地味」。いわば逆サプライズだ。

 「今度の改造は『下がった支持率を上げるのが目的』だと、国民にはバレている。そこへきて、人気の小泉進次郎衆院議員や、女性議員を入れたら姑息(こそく)に見えてしまう。そこで、安倍首相は逆の発想をした。『真面目にしっかり仕事をします』と、あえて閣僚経験者をそろえたということだ。実は、伊吹文明元衆院議長に7月早々、文科相を打診していたのが明らかになったが、これこそ象徴的だ」(前出ベテラン)

 「反安倍」を掲げる野田聖子総務相の起用がやや効いたのか、マスコミ各社の世論調査で支持率は多少上がり、「安倍人事の狙いが的中し、何とか最悪を食い止めた」(同ベテラン)ということか。

 だが、改造後、最も早く調査した読売新聞でも支持率は42%で、前回比6ポイント上昇のみ。不支持率が48%と高く、その理由のトップは「首相が信頼できない」だった。

 「頭を下げた姿を見せても、改造の顔ぶれで工夫しても限界があるということ」(首相側近の1人)

 やるべきは「反省の言葉」を形にすることだろう。

 例えば、加計問題については、閉会中審査で、政府側の参考人が「記憶にない」を連発し、忖度(そんたく)があったとする野党側の参考人と真っ向から対立した。政府側が「岩盤規制を国家戦略特区で突破した」というなら、それも含めて偽証罪に問える証人喚問が必要ではないか。

 森友学園の国有地払い下げでは、近畿財務局と値段交渉が行われた録音テープやメモをマスコミが入手した。日報問題も、稲田朋美元防衛相の辞任で終わりなのか。話を聴くべき主役はたくさんいる。

 前出の首相側近は「内閣改造は、支持率低下をいったん止めたに過ぎない。本当の回復は、安倍首相の決断で、政府の関係者を国会に立たせることかもしれない」と厳しい表情を見せた。

 ■鈴木哲夫(すずき・てつお) 1958年、福岡県生まれ。早大卒。テレビ西日本報道部、フジテレビ政治部、日本BS放送報道局長などを経て、現在、フリージャーナリスト。著書に『最後の小沢一郎』(オークラ出版)、『ブレる日本政治』(ベスト新書)、『安倍政権のメディア支配』(イースト新書)など。