【新・悪韓論】現代自が起亜自動車を国家に献納する日 財閥キラー恫喝「サムスンのようなリスクに直面する」

起亜自動車のSUV「NIRO」(AP)

 韓国の大手財閥、とりわけ現代(ヒュンダイ)自動車グループにとっては、ミサイルに直撃されたほどの衝撃だったに違いない。

 「財閥キラー」の異名を取る金尚祖(キム・サンジョ)公正取引委員長が、現代自を名指しして「今のように時間を無駄にしていると、サムスンのようなリスクに直面するだろう」と警告、いや恫喝(どうかつ)したことだ。

 「サムスンのようなリスク」とは、常識的に考えれば、現代自トップの鄭夢九(チョン・モング)氏も“塀の中”にぶち込むぞということだ。鄭氏がそうならないためには、自身の経営からの引退では済まない。おそらく、起亜(キア)自動車を「国家へ献納」するぐらいの措置が必要になろう。

 ロウソク革命で誕生した文在寅(ムン・ジェイン)政権の大きな政策目標は「財閥改革」という名の「財閥解体」だ。そのために起用されたのが「財閥キラー」だ。

 金氏は1日、韓国日報とのインタビューで大いに語った。

 公取委は、朴槿恵(パク・クネ)政権末期から、45大財閥に対する「総帥一族の私益騙取(へんしゅ)調査」を進めてきた。次の政権の顔色を見た、ゴマスリともいえる。

 私益騙取とは、総帥一族による不当な利益吸い上げのことだ。典型は、企業の日常的な消費財(=例えば、コピー用紙)を一族のペーパー会社を通じて購入する形式をとって、翼下企業に市価より高く買わせ、サヤを稼ぐ手法だ。

 さまざまな手法を動員して得た資金で、生前贈与に向けた株式の工作をするのが私益騙取のゴールになる。

 金氏は、私益騙取調査の結果、悪質な財閥が2ケタに達するが、1ケタに圧縮して対処する計画を明らかにしたうえで、現代自に言及したのだ。「鄭義宣(チョン・ウィソン)副会長(=鄭夢九氏の長男)が積極的に活動できる環境が作られ、最高経営責任者(CEO)として価値を作っていかなければならない」とも述べた。鄭氏は早く引退し、義宣氏のリーダーシップで大胆な措置を取れと命令したのに等しい。

 ロウソク革命の最中、共に民主党(=文政権の与党)は、朴、崔順実(チェ・スンシル)両氏について不当に取得した財産を国家に献納させるとの基本方針を決めている。共に民主党の認識では「大財閥は朴、崔両氏の共犯」だ。共に民主党の議員は、サムスングループの李在鎔(イ・ジェヨン)副会長(勾留中)に対する証人喚問で「早く経営権をよこせ」と露骨に述べた。

 しかし、共に民主党の国会議席は4割に過ぎない。国会での立法を通じて財閥改革を進めることは容易でない。

 そこで、問題財閥との裏取引が始まる。金氏の発言は、裏取引が進展しない状況へのいらだち表明と見ることができる。

 現代自グループは生前贈与をめぐる株式工作疑惑、現代自株を材料にしたデリバティブ取引での背任疑惑…いろいろささやかれている。旧現代財閥の解体以降、一族の私益騙取はどれほどになるのか。

 大胆に予測すれば、現代自グループと、その総帥一族が所有する起亜自動車株を「自主的に」国家に献納することにしたと義宣氏が表明する日は、そう遠くない。

 ■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。

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