永田町で急速に強まる“解散風” 麻生氏が早期解散を進言か、関係者「秋に解散する可能性7割程度」

安倍首相はついに決断するのか=13日午前、東京・羽田空港

 永田町で「解散風」が急速に強まってきた。安倍晋三首相が、経済政策(アベノミクス)の継続・進化や、外交・安全保障政策、憲法改正(自衛隊の明記など)を掲げて、「国民の信を問う」という見立てだ。北朝鮮情勢が緊迫化するなか、党綱領に「日米安保廃棄」「自衛隊の解消」を明記する共産党を含めた野党連携も焦点となりそうだ。25日召集予定の臨時国会冒頭の解散もささやかれている。山尾志桜里衆院議員の不倫疑惑炸裂(さくれつ)などで、前原誠司代表率いる民進党の支持率が低迷するなか、安倍首相は「伝家の宝刀」を抜くのか。

 「チャレンジを阻む岩盤のような規制に真正面から挑戦し、スピード感を持って改革を進めていく」

 安倍首相は11日午前、官邸で開かれた政府の規制改革推進会議で、こう語った。アベノミクスが掲げる「3本の矢」のうち、「道半ば」とされる「成長戦略=規制改革」について強い決意を披露した。

 この直後、安倍首相は、自民党の二階俊博幹事長と公明党の山口那津男代表と官邸で相次いで会談した。前日夜には、麻生太郎副総理兼財務相が、東京・富ケ谷の安倍首相邸を訪ねて約1時間半、会談している。

 いずれも、臨時国会や、衆院トリプル補欠選挙(10月10日告示、22日投開票)を見据えて、意見交換した-とされるが、そう単純ではない。

 官邸周辺は「麻生氏が『早期解散を進言した』という噂がある。二階、山口両氏との会談でも、そうした話が出たはずだ」といい、続けた。

 「『森友・加計学園』問題で落ちた内閣支持率が回復してきた。読売新聞とNHKの最新世論調査(12日と11日報道)で、支持は50%と44%、不支持は39%と36%となり、いずれも支持が不支持を上回った。来年12月には、天皇陛下のご譲位が予定されている。ご譲位の準備などもあり、来年後半の選挙は難しい。今年秋に解散する可能性が高まっている。7割程度あるとみていい」

 7割程度とは、相当強い「解散風」といえる。

 別の官邸関係者は「安倍首相が解散するなら、大義は『経済と外交安保政策、憲法改正』だろう。アベノミクスの成果で、今年6月の有効求人倍率は1・51倍と、バブル期で最も高かった1990年7月(1・46倍)を抜いた。この経済政策を継続し、規制改革などで進化させるかを問う。外交安保の手腕では、野党は太刀打ちできない。憲法改正は、安倍首相の悲願だ。北朝鮮情勢が緊迫化するなか、国と国民を守る自衛隊を憲法に明記するのは当然だ。共産党は綱領に『日米安保廃棄』『自衛隊の解消』を掲げている。共産党主導の野党連携も追及するだろう」と語る。

 政府・与党を勢いづかせるのは、前原民進党の体たらくだ。

 「民進党のジャンヌ・ダルク」として期待され、前原氏が幹事長就任を打診した山尾氏に不倫疑惑が直撃した。相手は9歳年下のイケメン弁護士で、妻が病気療養中にマンションに出入りしていたと報じられ、日本中の女性を敵に回した。

 山尾氏は疑惑を否定したが、記者会見で質問を受け付けないなど、説明責任を果たさないまま民進党を離党して、猛批判を浴びている。

 このせいか、前出の読売調査で、民進党の支持率は5%と、先月の前回調査より1ポイント下落し、「前原新代表に期待する」は33%で、「期待しない」は60%だった。今後、「離党ドミノ」が続くとみられる。

 昨年の都知事選と今年の都議選で圧勝し、政府・与党が警戒していた小池百合子都知事にも、かげりが見えている。

 小池氏に近い若狭勝衆院議員が立ち上げた政治団体「日本ファーストの会」について、読売調査では「期待する」は41%、「期待しない」は46%だった。早期解散なら準備は整わない。

 ただ、政府・与党内にも懸念材料がある。世論調査で「女性の支持」が戻っていないことと、朝鮮半島情勢という。

 前出の官邸周辺は「官邸も『女性の政治不信』は深刻に受け止めている。選挙にどう影響するかを慎重に分析している」「朝鮮半島の緊張は心配だが、今後数年は続く。その間、解散できないとなれば、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に事実上、解散権を握られることになりかねない。それはダメだ」と語った。

 安倍首相は、13~15日にインドを訪問し、今月下旬にニューヨークで開かれる国連総会に出席する予定。永田町では「衆院トリプル補選に合わせた解散総選挙」か「補選結果を見て年内総選挙」という見方があるが、専門家はどう見るのか。

 政治評論家の伊藤達美氏は「解散は勢いがあるときでなければできない。ベストは衆院トリプル補選に合わせた解散総選挙だろう。世論調査で、安倍内閣と自民党の支持率が盛り返す一方、野党はジリ貧だ。選挙を左右するカギは無党派層だが、今の体たらくでは野党は『受け皿』になり得ない。朝鮮半島が緊張したなかでの選挙に批判も出るだろうが、過去の選挙中でも政府は機能してきた。対応できる態勢を整えておけばいい。自衛隊の違憲状態の解消と、朝鮮半島有事に対応できる外交・安全保障体制の確立を強く訴えるべきだ」と語っている。

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