解散は「渡りに船」!?公明の“お家”事情 山口氏の相次ぐ牽制発言に安倍首相が不快感

 安倍晋三首相(自民党総裁)が目指す憲法改正に慎重姿勢を崩さない公明党は、首相の衆院解散・総選挙の方針に「政局的には今しかない」と容認する構えだ。自民党内の改憲論議が解散で仕切り直しになるだけに、公明党にとって「渡りに船」という本音ものぞく。だが、次期衆院選で与党で国会発議に必要な3分の2以上の議席を失えば、自民、公明両党による連立政権の枠組みに亀裂が生じる可能性がある。(広池慶一)

 公明党の山口那津男代表は18日、ロシアから帰国後すぐに安倍首相の都内の私邸に向かった。約15分間の自公党首会談を終え、山口氏は記者団の取材要請に応じることなくワンボックスカーで私邸を後にした。

 「成熟した国民の合意形成が確かめられてからの改正になるべきだ」「国民と国会議員の幅広い賛同がなければ難しい」。憲法9条に自衛隊の存在を明記する改憲案を示し、2020年の改正憲法施行を目指す首相に対し、山口氏はブレーキをかける発言を連発していた。首相は山口氏の相次ぐ牽制(けんせい)発言に不快感を示しているという。

 衆院選が「10月10日公示-10月22日投開票」なら改憲論議は選挙後まで棚上げされることになり、公明党として好都合という見方がある。首相が次期衆院選で憲法改正を訴えることも想定されるが、公明党内には「与党にとってマイナス」「憲法ばかり訴えられると反対せざるを得ない」との声が少なくない。

 首相の改憲案は公明党がかつて検討した「加憲」の考え方を踏まえた内容のため反対しにくいはずだ。それでも、公明党が改憲に二の足を踏む背景には、国民の改憲機運が盛り上がらないまま国民投票に突入すれば、国論が真っ二つに割れて自公連立の政権運営に影響がでかねないからだ。

 ただ、内実は違うようだ。支持母体の創価学会幹部は「党の結論が出ていないし、学会に意見を求めるのもこれから。『安倍さん、ちょっと待ってくれ』というのが実情だ」と明かす。「平和の党」を看板に掲げる公明党が、平成27年成立の安全保障関連法で自民党に押しきられ、難色を示していた学会側への説明に腐心したことの再現は回避したい思惑もにじむ。

 北朝鮮の核・ミサイル危機を踏まえ、自民党の石破茂元幹事長が提起した非核三原則の見直し論議にも、党や学会は「改憲よりハードルが高い」「口が裂けても議論すべきだとはいえない」と拒否感が強い。

 このまま公明党が「与党内野党」的な主張を続ければ、次期衆院選で、自民党や小池百合子東京都知事に近い勢力による国政政党、日本維新の会を含めて改憲発議が可能となる3分の2以上を確保した場合、置き去りにされかねない。