【日本の解き方】改憲論議も一変させる「小池劇場」 反対派の民進党が事実上沈没、衆院選後に前進する可能性も

小池百合子東京都知事

 衆議院が解散し、事実上の選挙戦に突入した。争点の一つである憲法改正についての各党のスタンスや、選挙後に改憲が前進する可能性について検討してみたい。

 そもそも解散総選挙は、政策の内容を国民に問う必要があるのかどうかを含めて審判を受けるものだ。野党が解散の大義ありなしというのは、解散の本質がわかっていないだけの意見であり、政権打倒のチャンスをみすみす逃すという意味で、野党にも値しない。

 この考え方からいえば、解散のタイミングは国民に問いたい時のいつでもよいが、ここ1、2カ月は、米朝開戦の可能性が来年以降に比較して小さいという状況判断が加わったということだろう。

 安倍晋三政権が国民に問いたい事項に、憲法改正ももちろん含まれている。そもそも、安倍首相は2020年施行という憲法改正スケジュールを明確に描いていた。その内容は、今の憲法9条1項、2項を堅持し、3項で自衛隊を明記すること、教育無償化のために26条を改正することだ。前者の自衛隊明記は、公明党の「加憲」、後者の教育無償化は日本維新の会への配慮でもある。それを今年5月に発表した。

 しかし、連立パートナーの公明党は、「加憲」に難色を示した。これは安倍首相にとって誤算だっただろう。憲法9条1項、2項を堅持し3項で自衛隊を明記という案は、典型的な保守からみれば抜本的な改正にならず不十分との批判を受けるほどの左派寄り案である。

 民進党の前原誠司代表や枝野幸男代表代行ですら、改憲私案に似たような内容を盛り込んでいるほどで、公明党の主張してきた「加憲」そのままである。首相は、ロジカルに考えて公明党から慎重な声(事実上の反対)が出てくるはずがないと思っていた節がある。

 にもかかわらず、公明の山口那津男代表は党内事情から憲法改正に難色を示している。いずれにしても、公明党が憲法改正に反対である以上、首相の思っていた改憲スケジュールは変更せざるを得なくなった。そこで、安倍首相は、自らが示した憲法改正案(自衛隊明記、教育無償化)も国民に問いたいのだろう。

 憲法改正に賛成の党は、自民のほか、日本維新の会、小池百合子東京都知事率いる希望の党だ。国民投票の前の発議では衆参それぞれ3分の2が必要だ。参議院では定数242のうち、自民126、維新11なので、3分の2には希望の上乗せが必要になる。

 一方、今回の総選挙では、区割り法が施行されているので、衆院定数は465となる。解散時点で、自民287、公明35、民進88、共産21、維新15だが、改憲のための発議には、自民、維新、希望で3分の2の310が必要となる。

 「小池劇場」に巻き込まれる形で民進が事実上沈んだので、改憲勢力が3分の2になる可能性も十分にある。そうなれば、戦後初の憲法改正に一歩前進だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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