《zak女の雄叫び お題は「迷」》勢い増す中国資本の温泉旅館・ホテルの買収

 中国人による地方の温泉旅館・ホテルの買収が止まらない。後継者もなく、経営を悪化させるなどして売りに出された施設を次々と購入しており、その勢いは増すばかりだ。夜は会席料理に舌鼓を打ち、温泉と広々とした室内で羽をのばす。そんな当たり前だった風景が一変しているところもあるようで…。

 ホテル・旅館の経営コンサルタントを務める男性のもとに、「旅館を買いたい」という外国人の相談が殺到しているという。うち約9割は中国人。これまでは東京や京都など訪日外国人客に人気の観光地を結ぶ「ゴールデンルート」に沿った投資が多かったが、最近は全国各地に拡散中だ。

 人気なのは広い敷地に建つ老舗旅館で、3億円以下の物件がよく売れるとか。男性が取り持つ売買契約は年間30~40件に上るというから驚かされる。

 男性によれば、買収後の経営形態は多く分けて2パターンあるらしい。

 これまで多かったのは、中国人が自ら経営に乗り出すケース。そうした場合、これまでの経営形態は大きく変貌を遂げるとされる。中国人に約1億5000万円で売却された大阪府内にある温泉ホテルもその1例だ。

 売却後、ホテルは様変わりしたという。

 関係者によると、連日、中国人ツアー客を乗せた大型観光バスが到着。宿泊料金は1泊朝食付き3000円ほどに値下げされ、8畳間に4~5人を泊まらせるなど“詰め込み”が目立つようになった。

 客室稼働率は大きく向上したというが、「日本人には敬遠されるようになったらしい」と関係者。中には従来のサービスに変化が生じ、経費削減の対象となった夕食が「会席料理」から「外食」になることも。温泉旅館・ホテルに泊まる醍醐(だいご)味のひとつが姿を消しているのだ。

 旅館やホテルに飾られた骨董(こっとう)品や掛け軸を中国人客が勝手に持ち帰ってしまうため「装飾品はすべて撤去している」という施設もあって、なんとも言えない複雑な気持ちにさせられる。

 最近増えている経営形態が「オーナーは中国人、実質的経営はこれまで通り日本人に任せる」というスタイルだ。

 訪日した際に知り合いなどを呼び寄せるため、個人がゲストルーム的な感覚で老舗旅館を購入するため、高級感や伝統的サービスは維持され、客層は国内外の富裕層となるらしい。

 一般客には、経営者が変わったかどうかは分からないこともありそうだが、観光地にとっては施設の雇用も維持され、中国からの観光客を呼び込めるという利点もあるらしい。

 とはいえ、これまで日本人が守り育んできた風景が、ひとつまたひとつ消えていっているのも事実。衰退が進む温泉街の未来を、外国資本に委ねるだけで本当にいいのか?(M)

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。10月のお題は「迷」 です。