野党姑息!「豪雨休戦」で法案潰し 元民主・平野議員「災害対応口実に、審議ストップさせようと…」

土砂崩れに巻き込まれた住宅地で行方不明者を捜索する警察官や消防隊員ら=9日午後、広島県熊野町(恵守乾撮影)

 西日本を中心に広範囲にわたった「平成30年7月豪雨」は、未曾有の大災害となった。10日までの死者は12府県計157人、安否不明者は6府県で50人以上。平成史上、最悪の被害が出た背景について、「地球温暖化による異常気象のリスク増加」を指摘する専門家もいる。安倍晋三首相は11日からの欧州・中東歴訪を中止し、災害対応に全力を挙げる。こうしたなか、立憲民主党など左派野党が提示した「政治休戦」が、新たな火種となりそうだ。

 西日本豪雨の被災地では10日、数十人の安否不明者がいる岡山、広島両県を中心に、警察や消防、自衛隊などの関係機関が捜索に全力を挙げている。生存率が大きく下がるとされる「発生後72時間」はすでに経過しているが、関係者は希望を捨てていない。

 それにしても、「記録的豪雨」は、なぜ起きたのか。

 今回のケースでは、梅雨前線が本州付近のほぼ同じ場所に停滞し、大量の水蒸気を含む空気が流れ込んだ。6月28日から、台風7号の接近を経て大雨となった今月8日までに、平年の7月1カ月に降る雨量の2~3倍の記録的な降水量が確認された。

 国立環境研究所地球環境研究センターの江守正多(えもり・せいた)副センター長は「降水の激しさや継続時間、地理的範囲からいって、『異常気象』といえる。地球温暖化の影響で水蒸気が増え、日本全国どこでも場所を問わず、豪雨が起きやすくなっている。今後、温暖化が進行すれば、同じような気圧配置の場合、過去に比べて激甚化する可能性がある。従来の常識を超える被害のリスクは高まっている」と語る。

 気温が高くなるほど、大気中により多くの水蒸気を蓄えることができる。このため、なかなか雨にならず、降雨の回数は減る一方、いったん降ると量が多くなると考えられている。

 また、温暖化による海水温上昇も、大雨につながることが指摘されている。海面から大気中に水蒸気が大量に供給されやすくなるためだ。

 気象庁の過去約40年間の国内統計では、1時間に50ミリ以上の「非常に激しい雨」と、80ミリ以上の「猛烈な雨」の年間発生回数が増え続けている。1985年までの10年間と、最近の10年間を比べると、50ミリ以上の雨は4割近く増加した。80ミリ以上の雨も6割ほど増えている。

 全国どこでも「甚大な被害」があり得るとすれば、自分や家族の安全をどう守ればいいのか。

 前出の江守氏は「自治体が出しているハザードマップなどを活用し、自分が住む地域の危険度や避難場所を確認すべきだ」「警報を軽視せずに、空振り覚悟で避難などの対策を取るべきだ」と指摘している。

 未曾有の被害を受け、政治も動いている。

 安倍首相は11日からの欧州・中東外遊を中止。政府は、被災者支援に向け、府省庁横断で設置した事務次官級の生活支援チームを司令塔とし、食料などの物資の提供や仮設住宅や医療の確保、ライフラインの復旧に総力を挙げている。

 こうしたなか、立憲民主党や共産党など左派野党の代表らは9日、菅義偉官房長官と首相官邸で面会し、安倍首相や関係閣僚が最優先で災害対応に取り組むよう求める申し入れを行った。

 立憲民主党の枝野幸男代表は「政府が災害対応に全力で取り組めるように、(与野党の)政治休戦を含めて対応する」と記者団に語った。「政治休戦」は、共産党の小池晃書記局長が提起したもので、枝野氏が8日夜、自由党の小沢一郎代表と会談して調整していた。

 ただ、自民党幹部は「野党の『政治休戦』はくせ者だ。石井啓一国交相らを災害対応に専念させて、反対するカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案などの審議見送りを狙っているのだろう」と分析する。

 このため、参院内閣委員会の柘植(つげ)芳文委員長(自民党)は9日の理事懇談会で、IR整備法案の審議を10日に行うことを職権で決めた。

 左派野党は「法案審議をしている場合ではない」と反発しているが、彼らの戦術・手口をよく知る人物が、夕刊フジの単独取材に応じた。

 民主党政権で防災担当相を務め、現在は自民党の平野達男参院議員は「政府は、被災者の捜索や現地復旧、水・食料の支援などに万全を期すべきだ。同時に、法案や予算の審議も進める。災害対応と法案審議は、別物だ。絡めて論ずべきではない。野党は『災害対応』を口実に、法案審議をストップさせようとしているのではないか。応ずべき審議には、堂々と応じてもらいたい」と語った。

 平野氏といえば、小沢氏と同じ岩手県を地盤とし、菅直人内閣で官房長官だった枝野氏とも旧知の仲だ。民主党政権が掲げ、豪雨被害を受けて、ネット上で批判を浴びている「コンクリートから人へ」のスローガンをどう考えているのか。

 平野氏は「もはや死んだ言葉だ。東日本大震災を経験して、それでは国土を守れないという認識に変わった」と語った。