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緩やかな地点でも起きる岩屑なだれ 各地の火山、崩れやすい構造 (1/2ページ)

 4月に起きた熊本の地震で、木が茂った斜面が、まるでめくれたようにはげ落ちてしまったところがある。熊本県南阿蘇村河陽(かわよう)の高野台団地を襲った土砂災害。5人が犠牲になった。

 この河陽の土砂災害がじつは「岩屑(がんせつ)なだれ」だったということが火山学者の調査から分かった。

 岩屑なだれとは火山地帯で発生する大規模な地滑りで、雪や氷がなだれるなだれと違って、噴石や火山灰が流れ下るものだ。いったん走り出すと時速100キロを超える高速で駆け下る。とても逃げられない速さだ。

 崩れた斜面は傾斜角度が10度にも満たない緩斜面だが、600メートル近くも流れ下った。この角度では地震で崩れただけでは土砂が流れない。

 南阿蘇村は阿蘇山の西麓、西に約2~5キロのところに広がっている。河陽の岩屑なだれは、かつて阿蘇山から噴出した噴石や火山灰が降り積もっていたものが地震で一挙に崩れてしまった岩屑なだれだった。

 この地区では、約2100年前の弥生時代の遺構が岩屑なだれによって土砂に覆われて埋没していたことが分かっていた。つまり岩屑なだれが繰り返し起きてきたところなのだ。

 関東地方に広く広がっている関東ローム層をはじめ、日本では火山からの噴出物に覆われている土地は多い。火山地帯は日本の至るところにある。桜島大根も、長野県や群馬県のレタスも、火山からの噴出物ゆえに育つものなのである。

 岩屑なだれが起きる可能性がある斜面は熊本には限らない。新しい噴火が引き起こすこともあれば、熊本のように地震が引き起こすこともある。緩斜面でも起きるのが恐ろしい。

 たとえば静岡県御殿場市は富士山頂から約20キロ東、標高約500メートルのところにある。なだらかな斜面の上に作られた町だが、この斜面は、富士山が岩屑なだれを起こして崩壊したために作られた。

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