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中国海軍対処へ大増強 海上自衛隊「改革」実行中

 昨年末から年始にかけて、防衛省を震撼(しんかん)させたのが、空母「遼寧」を含む計8隻の中国艦艇の動向だ。

 2016年12月24日から25日にかけ、沖縄本島と宮古島の間を通過し、中国側は艦載ヘリを飛ばすなどした。その後、いったん太平洋へ出て、台湾周辺を回遊し、28日に中国・海南島へ到着した。ここを拠点に連日訓練を行っている。

 中国側は空母の運用訓練と説明しているが、艦隊には「中華イージス」こと、ミサイル駆逐艦「ハイコウ」「ジェンジュウ」から、対潜能力も高いフリゲートという、「空母打撃群」を構成した鉄壁な布陣だった。さらに長距離航海をサポートする、最新式の大型補給艦も随行させた。

 中国の空母艦隊が、沖縄周辺海域をわが物顔で行き交う、まさに異常な事態だ。これ以外にも尖閣諸島周辺海域には駆逐艦が周回している。

 これらを受け、現在、海上自衛隊は増強すべく改革を実行中だ。

 まず、護衛艦を48隻から54隻へと増やし、長崎県・佐世保基地に第16護衛隊を新編する。

 この配置から見えるのは、紛れもない中国海軍対処である。特に、中国海軍の潜水艦キラーとして、現在2隻の「あさひ」型護衛艦を建造している。1番艦「あさひ」は来年3月就役予定で、2番艦は今年10月に命名進水式を迎える。

 さらにイージス艦を新たに2隻建造し、現行の6隻から8隻へ増強する。1番艦は今年起工され、20年の就役を目指す。

 配備から20~30年を経た護衛艦は、通常ならば一線を退き練習艦か退役かの道をたどっていたが、改修してあと10年は使い続ける計画だ。

 潜水艦隊も、18隻から22隻へと増やす。

 その中核となるのが「そうりゅう」型だ。今年3月に「そうりゅう」型の8番艦「せきりゅう」が就役する。増やした分を受け入れるため、将来的に神奈川県・横須賀基地に第6潜水隊が新編される。

 護衛艦に搭載されるヘリも一新するため、16年度に一気に17機を調達した。

 掃海艦艇だけは縮小されるが、それは掃海部隊が新しい任務を帯びたからだ。敵が敷設した機雷の処理だけでなく、今後は、日本領海内の島嶼(とうしょ)部に着上陸した敵を殲滅(せんめつ)するため、陸上自衛隊部隊を運ぶ輸送任務も加わり、沿岸域での戦闘全般を受け持つ。すでに15年度に輸送艦「おおすみ」型からなる第1輸送隊が掃海隊群へと編入されている。

 沿岸防御を行い、掃海活動も行える多目的護衛艦DEXの建造計画もあり、さらに島嶼防衛に力を入れていく。

 この整備計画は、まさに東西冷戦当時をほうふつさせるが、それを上回るスピードで中国海軍は増強を続け、日本領海を脅かしている。

 ■菊池雅之(きくち・まさゆき) フォトジャーナリスト。1975年、東京都生まれ。陸海空自衛隊だけでなく、各国の軍事情勢を取材する。著書に『こんなにスゴイ! 自衛隊の新世代兵器』(竹書房)、『ビジュアルで分かる 自衛隊用語辞典』(双葉社)など。

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