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対北攻撃「時間稼ぎ」に成功した習近平氏 “厳しい制裁”PRのウラで物資提供、外国メディア冷ややか (1/2ページ)

 【矢板明夫の中国点描】

 中国の習近平国家主席(63)が訪米した4月上旬以降、北朝鮮の核・ミサイル開発問題をめぐる米中連携が注目されるようになった。ドナルド・トランプ米大統領(70)は中国による対北圧力強化に高い期待を寄せ、記者会見などで「中国はわれわれを助けたいと考えている」「習主席は特別な男だ。並々ならぬ努力をするだろう」などと語っている。

 こうした発言から推測すれば、首脳会談の場で習氏が「北朝鮮問題は任せてくれ」といった米国を喜ばすような約束をした可能性が高い。トランプ氏はその見返りとして通商問題で中国に大幅に譲歩した。米政府は14日、中国を為替操作国に認定することを見送った。中国メディアはこのことを習氏訪米の成果として大きく報じている。

 しかし習氏の帰国後、中国が北朝鮮に圧力を強化した行動はみられていない。王毅外相は14日の記者会見で、朝鮮半島の緊張について「互いに挑発することはやめるべきだ」と米朝双方を同時に牽制(けんせい)し、対話による解決の重要性を改めて強調。中国の従来の主張を繰り返しただけだった。

 中国が北朝鮮から輸入した石炭を送り返したという報道はあるが、北京に駐在する外国メディア関係者は「ポーズにすぎない」と冷ややかに見る。北朝鮮の核開発が国際社会で問題視された約20年前から、中国は北朝鮮当局の銀行口座を凍結するなど何度も“厳しい制裁”の実施をアピールしたが、水面下で対北支援をやめることはなかった。中国はいまも「国民生活に不可欠な援助品」との名目で大量な物資を提供しており、金正恩(キム・ジョンウン)政権が頻繁に行うミサイル発射実験や航空ショーに使う燃料もその中に含まれている。15日に平壌で行われた軍事パレードに登場したミサイルを載せた車両も中国製だった。

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