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【ぴいぷる】タクシー歌人・高山邦男さん、車内は創作の場 出合いは中学生、教科書で見た短歌「形式が格好いいな」 (1/3ページ)

 職業はタクシー運転手。職場である車内は、歌人としての創作の場でもある。

 4月初旬の夕方、JR中央線沿線の駅からタクシーで、新宿・歌舞伎町へと向かいながら話を聞いた。窓に目をやれば、昼から夜に変わる街を桜が彩っていた。桜の種類に始まり、車内での話題は緊迫する北朝鮮情勢にまで及んだ。

 取材翌日、送られてきたメールに短歌10首が添えられていた。

 美しく

 桜さく夜もきつとゐる

 自爆テロ思ひつめてる青年

 楽しげな

 夜だからこそ怖くなる

 核兵器、戦争、北朝鮮ミサイル

 車中での会話の合間、合間に沈黙があった。頭の中で作品を練っていたのだろうか。

 短歌はリアルタイムで作り上げることのほうが多いという。

 「運転手という仕事の特性で、大体一人なわけですよ。ずっと一人で誰とも話をするわけでもなく、頭の中で対話をしているわけですから」

 タクシー運転手としての勤務時間は大体、夜8時ごろから朝の4時ごろまでだ。一日が終わり、新たな一日が始まる深夜、未明の時間帯。ほとんどの人は体を休め、働く人は少ない。昨年4月に発表した歌集『インソムニア』(ながらみ書房)では、その時間帯に活動する人々を描いた作品が目立つ。

 この夜も

 同じ辻にて客待てば

 棒振る男も同じ奴なり

 観客の

 ゐない未明を蛇行して

 バイク煙らす新聞配達人

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