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火山が生む泥流の恐怖 雪や氷の下での噴火は大量の水と混ざり一気に押し寄せ (1/2ページ)

 火山が見えない場所でも火山災害は起きる。

 雨も降っていないのに、遠くの火山からの泥流がいきなり襲ってきたのだ。いまから91年前の1926年5月下旬のことだった。北海道の中央にある十勝岳が噴火して、火山泥流が上富良野(かみふらの)など2つの村を埋めた。144人もの犠牲者を生んでしまった。

 被災地から火山は見えない。泥流は谷筋を刻んだ曲がった川に沿って流れ下り、25キロも離れたところで人々を襲ったのだ。いまだったらずっと多くの人が住んでいるだけに、もっと大きな火山災害になっただろう。

 泥流は流下するにつれて速度を増し、平均時速60キロもあった。とても逃げられない速さだ。ふだんの沢水よりはずっと速い。同じく火山から出る火砕流は新幹線の速度なみで、温度も300度を超える。泥流はそれよりも遅いとはいえ、襲われたら逃げられない火山災害だ。これらに比べれば、溶岩流の速度は遅い。走れば逃げきれるくらいだ。

 十勝岳が噴火したのは5月だったが、山はまだ、雪に覆われていた。火山泥流は雪の下で噴火したので雪を溶かして大量の水が出たのだ。出てきた溶岩の温度は約1000℃。雪を一瞬に溶かして大量の水を生む。

 世界では、雪や氷の下の噴火で、もっと大きな災害を生んだことがある。

 南米コロンビアにあるネバドデルルイス火山。1985年、火山泥流に町がのみ込まれて2万3000人もの犠牲者を生んだ。泥流が広く覆ってしまったため道路が使えず、ヘリコプターで近づくしかなかった。被災地の中心だった町はなすすべもなく放棄されて人々が埋まったまま、墓地になった。

 このときは夏だったが、標高5321メートルある火山の山頂付近は氷河におおわれていた。この氷河の下で噴火が始まった。

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