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大前研一氏 「安倍首相主導の改憲は難しいだろう」 (2/3ページ)

 さらに、そもそも自民党は「自主憲法制定」が1955年の立党以来の党是である。自主憲法は現行憲法をちまちまと改正するのではなく、ゼロベースで「創憲」するのが筋だから、その意味でも安倍首相の提案は、あまりにお粗末と言わざるを得ない。

 だが、それに対する野党は金縛りにあったように「平和憲法を守れ」と言うだけで、デジャブもいいところだ。最大野党の民進党に至っては、本来なら独自の改憲案を出すべきなのに、何も提示できていない。

 日本維新の会は憲法改正原案で「教育無償化」「道州制による統治機構改革」「憲法裁判所の設置」を掲げる一方、9条改正にも含みを持たせている。このため安倍首相は前述した改憲案提起の中で、日本維新の会を意識して「高等教育についても、すべての国民に開かれたものにしなければならない」と述べた。日本維新の会への秋波は、9条改正に慎重な公明党が離反しないようにしながら、改憲発議に必要な3分の2の国会勢力を確保するための安倍首相の常套手段になっている。

 要するに、野党の大半は十年一日どころか「七十年一日」のカビが生えた平和憲法論に終始しているわけだが、現行憲法のどこに平和が保証されているというのか? いくら「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と日本だけが言ってみたところで、平和は訪れないのである。

 にもかかわらず戦後70年以上にわたって日本の平和が維持されてきたのは、アメリカの強大な軍事力と核の傘に守られていたからだ。

NEWSポストセブン
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