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ISが比ミンダナオ島拠点化、市民ら「人間の盾」に 戒厳令1カ月、死者350人超

 【シンガポール=吉村英輝】フィリピン南部ミンダナオ島でイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う武装勢力と政府軍が交戦となり、戒厳令が発動されてから23日で1カ月となる。市民を含めた双方の死者は350人を超えた。東南アジアや中東からもIS信奉者が参戦し、この地域で“独立国家”樹立をもくろんでいるとされ、掃討作戦は長期化の様相を呈している。

 ミンダナオ島のピグカワヤンで21日、地元のイスラム過激派「バンサモロ・イスラム自由戦士」(BIFF)の構成員ら約300人の武装集団が学校を占拠し、軍と銃撃戦となった。軍が撃退し負傷者はなかったとするが、人質を取られたとの情報もある。約190キロ離れた同島マラウイで先月23日から続く戦闘が“飛び火”した格好だ。

 軍によると、マラウイの戦闘では今月20日までに政府軍の兵士ら66人、市民26人、過激派268人の計350人以上が死亡した。20万人以上が避難し、食料や衛生状態の悪化による死者も出ている。空爆を続ける軍に対し過激派約100人が市内要衝の占拠を続け、市民ら約100人を「人間の盾」にしているという。

 マラウイの戦闘を主導するのは、新興過激派「マウテ・グループ」。中東留学経験者のマウテ兄弟がBIFFなどのIS支持者と、東南アジア版「イスラム国」樹立を画策しているとされる。死亡した過激派の中にインドネシアなどの周辺国に加え、サウジアラビア出身者もいた。シリアなどで劣勢のISがマラウイを拠点に東南アジアで勢力拡大を狙っている節がある。

 AP通信は、マウテ兄弟のアジトに残されたスマートフォンから軍が見つけたとする動画を配信した。交戦開始の数日前、同兄弟が綿密な襲撃計画を立てていた秘密会議の中心には、別の過激派「アブサヤフ」のハピロン容疑者がいた。ISから東南アジアの指導者に認定され、米国も懸賞金をかけ行方を追う大物だ。ISからの資金などの流入に加え、強固な組織力が軍の想定を超える抵抗につながっている可能性がある。

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