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中国、越漁船攻撃か 南シナ海で妨害再活発化

 【シンガポール=吉村英輝】中国とベトナムが領有権を主張して対立する南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島近海で今月18日、中国船とみられる2隻の船から攻撃を受けたと、ベトナム漁船が被害を訴えていることが分かった。ベトナム漁業者組合(VFS)が、産経新聞に明らかにした。15日にも別のベトナム漁船が同様の被害を受けたとしており、中国が南シナ海で、ベトナム漁船への妨害と暴力を再び活発化させている可能性がある。

 同船の船長が、中部クアンガイ省の当局に被害を届け出た。現地メディアのトイチェ(電子版)が24日伝えた被害内容によると、船長が18日午前7時頃、他の漁民らと操業中、小型船2隻が漁船に近づき、軍服姿の2人が漁船に乗り込み別の場所へ移動するよう求めてきた。2人は船を大破させた上、船長に暴行を加え、物品も奪った。被害額は10億ドン(約490万円)と推計されるという。

 VFSのグエン・ベト・タン議長は、中国当局による攻撃との報告を受けているとした上で、「現地の漁業組合から詳細な情報を待っている」とした。中国が軍事拠点化を進める同諸島にベトナム漁船が近づかないよう、「攻撃が続いている」とも訴えた。

 現場海域近くでは、15日にも同様にベトナム漁船が攻撃されたと、クアンガイ省に被害を届けた。船室などが壊れ、修理費用は1億5千万ドンとみている。

 南シナ海のほぼ全域で「主権」を主張する中国は1999年以降、5月から約3カ月、同海の「禁漁期」を一方的に設定。ベトナム外務省のレ・ティ・トゥーハン報道官は5月4日、パラセル諸島周辺海域はベトナムの伝統的漁場であると反発し、国連海洋法条約などを根拠に同諸島の主権を有すると主張した。

 パラセル諸島近海をめぐっては、中国が2014年5月に石油掘削作業を強行して現場海域で中越両国の船が衝突。ベトナム各地では反中デモも発生した。中国海警局の公船による体当たりなどで、ベトナム漁船の損傷や船員の負傷が相次いだ。

 15年4月には、ベトナム最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長が訪中して習近平国家主席と会談し、南シナ海の領有権争いを複雑化させないとする共同声明を発表していた。

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