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「告げ口外交」転換アピールの韓国、慰安婦問題を棚上げ状態に 友好ムードの陰で日本疑念 (2/2ページ)

 ■文氏「障害となってはいけない」…でも

 就任後、初の日韓首脳会談に臨んだ韓国の文大統領は、安倍晋三首相に「しばしば会い、深く対話する機会を持ちましょう」と呼びかけた。慰安婦問題などをめぐって海外で日本を批判する「告げ口外交」を繰り返し、結局は一度も訪日しなかった朴槿恵(パク・クネ)前大統領とは全く違う、気さくな印象を伝えたかったようだ。

 文氏は5月の就任直後の安倍首相との電話会談で、慰安婦問題をめぐる日韓合意について「国民の大多数が心情的に受け入れられないのが現実だ」と伝えており、今回の会談でも従来の主張を繰り返した。

 その一方、「慰安婦問題が関係発展の障害となってはいけない」と述べた。さらに、北朝鮮の核・ミサイル問題への協力やシャトル外交復活、未来志向的な関係構築など日韓が協力しやすい分野に言及し、対日関係改善への意欲を示した。

 文氏は就任前から、日本に対しては歴史問題と経済・安保の問題を切り離す「ツートラック外交」で臨むことを明言している。「歴史問題が存在しても、現実的に考えれば日本との関係は重要だと認識している」(韓国政府筋)という。北朝鮮、国内経済や雇用といった問題が山積する中、朴政権下でこじれた日本との関係をこれ以上悪化させたくないわけだ。

 大統領就任前まで日韓合意の無効や再協議を主張していた文氏だが、就任後は「再協議」の公言を控えている。ただ、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した合意を日本が順守、履行した一方、韓国では合意の精神や国際条約に反し、ソウルの日本大使館前に続き、釜山の日本総領事館前にも慰安婦像が設置された。

 文氏は欧米メディアに、慰安婦問題での日本の法的責任や公式謝罪、努力不足を主張した。無難に終えた初の日韓首脳会談だが、韓国側が後回しとし、棚上げ状態にした慰安婦問題はくすぶり続けている。(ソウル 名村隆寛)

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