大前研一のニュース時評

香港返還20年で「1国2制度」の行方は 共産党の思惑と裏腹に増える脱出組の現実

英国が香港の主権を中国に返還して20年を迎えた1日、香港で記念式典が開かれ、中国の習近平国家主席が出席した。習氏は香港の高度な自治を保障した「1国2制度」の成功をアピールしたが、香港市民の間では、北京政府が香港への介入を強めているという懸念が強い。「1国2制度」の危機を訴える民主派の大規模デモも行われた。

英国と中国が締結した香港返還協定では、50年間は香港の制度をいじらないことになっていた。「1国2制度」についても、英国の解釈は「当時の香港の自由度を、そのまま享受できる」というものだ。しかし、中国は「2制度」よりも「1国」のほうを強調して、「1国(北京)の許す範囲で、お前たちの自由は少し目こぼしをしてやる」と解釈している。

今回、香港での習氏の顔は緊張でキツイ表情になっていた。「中央(北京政府)への挑戦は絶対許さない」と語った演説でも笑顔はなかった。

演説では「愛国主義教育を強化する必要がある」と、中国化教育を訴えていた。以前、この手の話が出てきたときには「冗談じゃない。香港には香港の歴史があるんだ」と学生が騒ぎ出し、結局、中国化教育はできずに中ぶらりんの状態になっている。それをまた言い出し始めたわけだ。

さらに、今回は“軍事パレード”も行った。といっても、軍隊が動くのではなく、習氏がオープンカーに乗って軍を閲兵したのだが、広場は3000人の兵士で埋まった。香港ではふだん警察が前面に出てくるのだが、香港北部の駐屯地にはこんなに強力な軍隊がいるということをアピールしたのだ。香港市民に対し、「何が起きても、一瞬でお前たちを抑えつけられる」ということを見せつけたわけだ。

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