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古文書が知らせるナゾの大地震…原発「攻防戦」の最前線に (1/2ページ)

 昔の地震についての古文書をめぐって、原発再稼働の「攻防戦」が火花を散らしている。

 発端はポルトガルから来た宣教師ルイス・フロイスの「フロイス日本史」のあいまいな記述だった。フロイスは信長や秀吉とも面識があった名士で、この「日本史」は戦国時代を研究する貴重な資料になっている。

 天正地震(1586年)の項目で「若狭の国の長浜」が大津波で壊滅したとの記述がある。若狭とは福井県のことで、若狭湾は原発が林立しているところだ。だが、長浜という町はない。このため、この記述がずっとナゾのままになってきた。

 その本には「長浜という城の城下で大地が割れ、家屋の半ばと多数の人がのみ込まれた。若狭の国には海に沿って、やはり長浜と称する別の大きい町があった。揺れ動いた後、海が荒れ立ち、高い山にも似た大波が町に襲いかかり、ほぼ痕跡をとどめないまでに破壊した」とある。

 琵琶湖に面している「長浜」(現滋賀県)は液状化現象で大きな損害を被ったことが分かっている。だが、「別の大きい長浜」はなにかの書き間違いだろうかと思われている。

 東大地震研が編纂(へんさん)した「新収日本地震史料」には「長浜は高浜の誤りであろうか」とある。「フロイス日本史」はアルファベットで書かれているので「長浜」と「高浜」は僅かな違いなのだ。しかも印刷技術が発明される前。元になる本もマカオで作られた手書きの写本だった。写し間違いがあっても不思議ではない。

 高浜には原発がある。原子力発電所を若狭湾沿いに多数展開している関西電力にとっては、高浜が大津波に襲われたかどうかは重要な関心事である。将来も大津波に襲われる可能性が出てくるからだ。

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