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【国防最前線】日報問題で「背広組」と「制服組」の溝深めるな “縄張り意識”持っている場合ではない (1/2ページ)

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 安倍晋三首相が、稲田朋美防衛相の失言や失敗をかばい、国会でも答弁を手伝うという姿は、安倍政権を支持する女性層にも、あまりいい印象を与えなかったのではないか。

 稲田氏の進退には、もはや関心はない。ただ、「自衛隊に愛情を注いでいる」と評判高い安倍首相には、「防衛相を単にキャリアパスの1つにさせようとしたのではないか」と疑われないためにも、しっかりとケリをつけ、これからの自衛隊を真剣に考えてもらいたい。

 そのうえで、南スーダンPKO(国連平和維持活動)部隊の日報問題で、あまり語られていないが大事な論点に注目してみたい。

 事の顛末(てんまつ)は、昨年9月に情報公開請求があった日報を、12月に陸上幕僚監部が「破棄した」と返答したことから始まる。その後、データが残っていたことが分かったため、陸上自衛隊はその経緯を正直に発表しようとしたが、すでに今年1月の時点で「統合幕僚監部(=陸海空自衛隊を一体的に部隊運用することを目的とした機関)にあった」と公表していたので、「今さら言えない」ということで断念したものだ。「今さら言えない」と指示したのは統幕にいる文官、いわゆる「背広組」と報じられている。

 「戦前の反省」として、これまでの自衛隊では作戦運用を担う部署が内局(背広組)にあるなど、さまざまな権限を内局が持っていた。しかし、それでは昨今の厳しい安全保障環境に対応しきれないことから、一昨年の法改正によって、「制服組」(自衛官)主体の統幕に権限が移るようになったのだ。

 そして、背広組と制服組の相互配置(UC混合)が実現した。新聞の「首相動向」を見ると、頻繁に(制服組の)統合幕僚長が入っているのはその象徴的な変化であろう。現場感覚が伝わる仕組みになったのは良かったが、一方で「内局上位」の関係は解消されず、「背広の人間が統幕に入っただけだ」と揶揄(やゆ)する見方もあった。

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