記事詳細

【高橋洋一 日本の解き方】「最低賃金」引き上げの背景に金融政策による「雇用」改善 穏便な上昇は歓迎すべきだ (1/2ページ)

 中央最低賃金審議会は、2017年度の地域別最低賃金について、全国平均の時給で25円引き上げ848円とするよう答申した。

 最低賃金については、右から左までいろいろな意見がある。「右」の代表として、「最低賃金があると失業が増えるから決めるべきではない」という意見がある。「左」からは、「労働者のために最低賃金を高くすべきだ」というものもある。

 一部の経済学者が考えるほど、労働市場は完全雇用でないので、最低賃金が失業を生むほど悪いものではない。しかし、実際の労働市場を無視して最低賃金を高くすれば、実体経済に悪影響が出てくると思われる。

 要するに、最低賃金の決まり方が問題なのだ。最低賃金が雇用の実情無視で決められれば失業を生むが、雇用の状況を後追いすれば、労働者のインセンティブを高めるはずで、実際の最低賃金の決め方次第で、毒にも薬にもなる。

 「穏便な最低賃金」の決定であれば、さほど雇用には影響せず、むしろ労働者のインセンティブになるという実証結果が多くなっている。

 実際の日本の最低賃金は、ほぼ前年の失業率に応じて決まっている。つまり、失業率が高いと最低賃金の上昇率は低く、失業率が低いと最低賃金の上昇率は高くなる。最低賃金といえども、雇用環境を反映しながら、実際の賃金と似たような動きになっている。この意味で、日本の最低賃金の決定は、穏便なものだといえよう。

 この雇用環境と最低賃金の穏便な関係は、金融政策によって良い雇用環境を作ることができれば、翌年の最低賃金を引き上げられるということにもなる。

zakzakの最新情報をSNSで受け取ろう