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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】大被害の可能性!東京湾を津波が襲う 文明が進み、湾岸がいっそう弱く (2/2ページ)

 8月5日ごろから続いた梅雨前線による大雨に、11日に房総半島をかすめて太平洋上へ抜けた台風と、14日に沼津に上陸して甲府から群馬県西部を通った台風が重なって関東各地に集中豪雨をもたらしたのだ。

 この水害では関東平野は一面の水浸しになり、利根川、荒川、多摩川水系の広範囲にわたって各地で堤防が決壊して河川が氾濫した。関東地方だけで犠牲者は800人以上にも及んだ。東京でも下町一帯が冠水して、盛り場浅草も水没した。

 東京を襲った水害はこれらだけではなかった。写真家の長野重一が撮った「海抜ゼロメートル地帯の洪水」は、1959年、江東区大島で撮られたものだ。赤ん坊を背負った少女2人が膝上まで水に浸かっている。

 東京23区の東部や、江戸川をはさんだ千葉県浦安市や市川市行徳地区は旧江戸川の河口近くで三角州が広がっている。水害が起こりやすい低湿地帯なのである。

 東京湾は入り口が狭くて中が広い「フラスコ型」をしている。そのため、外から入ってきた津波は、幸いにして中に入って来て大きくなることはない。東日本大震災(2011年)のときの三陸などのリアス式海岸とは違う。

 だが、東京湾の中で地震が起きたら別だ。もし湾内の浅いところで地震が起きれば津波が湾岸を襲うことになる。

 東京湾岸は水に弱いところに都会が広がっている。しかも文明が進んで、いっそう弱くなっている。埋め立てや人工海岸化が進んだ東京湾の沿岸には、火力発電所や製鉄所や製油所などの工場が立ち並んでいる。

 ほかではそれほどの被害を生じない高さの津波でも、大被害を生じる可能性があるのが東京湾なのだ。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『完全解説 日本の火山噴火』(秀和システム)。

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