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【昭和のことば】高度成長時代にサラリーマンの“共感”呼んだ「無責任時代」(昭和37年)

 このことばの起源は、この年に封切られた、植木等主演の東宝映画『ニッポン無責任時代』にあるとするのが一般的である。主人公の平均(たいらひとし)が提唱(!?)する「いいから、いいから」「ハイそれまでよ」「無責任」「C調」などのことばが、高度成長時代の激しすぎる高揚感のなかに「空気穴」を求めていた多くのサラリーマンの共感を呼んだ。

 この年の主な事件は、「東京の在住人口が推計で1000万人を突破。世界初の1000万人都市へ」「日本電気、国産初の大型電子計算機発表」「テレビ受信契約者数1000万人突破」「東京常磐線三河島駅構内で二重衝突、死者160人、重軽傷325人」「大日本製薬、サリドマイド系睡眠薬の出荷停止(サリドマイド事件)」「堀江謙一、日本人ではじめて小型ヨットで太平洋を横断、アメリカのサンフランシスコに到着」「伊豆七島の三宅島、22年ぶりの大噴火」「北九州洞海湾の若戸大橋開通」「池田勇人首相の私的諮問機関『国づくり』懇談会初会合」など。

 この年の映画は『キューポラのある街』。本は、北杜夫『楡家の人びと』、司馬遼太郎『竜馬がゆく』。テレビでは、『てなもんや三度笠』やアメリカのドラマ『ベン・ケーシー』がはやった。

 国鉄スワローズの金田正一が三振奪取3509個の世界新記録樹立。経済成長の半面、薬害や偽札などで社会が揺れた。

 無責任とは、だれも責任を取らない、すてばちでいいかげんな、あまりよろしくないことば。だが、裏を返せば、そんなことばに救いを求めるほどに、そこには規範や古い因習が充満し、勤め人たちの心にじわじわと重圧を与えていた。

 コンプライアンスが叫ばれ、また、新しい発想が尊ばれ、そして、ある意味便利な低成長時代を迎えている昨今。50年以上も「進化」した時代は、はたして「責任ある時代」となっているのだろうか。=敬称略(中丸謙一朗)

 〈昭和37(1962)年の流行歌〉 「可愛いベイビー」(中尾ミエ他)「王将」(村田英雄)「いつでも夢を」(橋幸夫、吉永小百合)

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