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金正恩氏を暴走に駆り立てる「8月の怨念」と戦争の危機 (1/2ページ)

 金正恩氏にとって8月は、「怨念」のこもった月だ。

 2015年8月、北朝鮮と韓国が対峙する軍事境界線の非武装地帯で、北側の仕掛けた地雷に韓国軍兵士2人が接触して爆発。身体の一部を吹き飛ばされる重傷を負う事件が発生した。

 南北間の非難合戦は、すぐさま銃火の応酬に発展した。韓国軍が地雷爆発事件に対する報復として対北心理戦の拡声器放送を11年ぶりに再開すると、朝鮮人民軍前線司令部が「心理戦放送を中止しなければ、無差別に打撃を加える」との警告を出し、実際に2度にわたり計7発の砲弾を韓国に向け発射。これに、韓国側も応射したのだ。

 ■爆発シーンの衝撃

 その後も軍事危機はエスカレートし、一触即発の事態に発展。朝鮮半島には戦争前夜の空気が漂うことになる。

 そして、南北はすんでの所で高位級会談を開き、40時間以上にも及んだ交渉により危機を収束させた。

 だが、危機回避の南北合意は、双方が五分五分の関係で到達した結果ではなかった。爆発シーンの衝撃的な動画を見て「やるなら、やってやろうじゃないか」と盛り上がった世論を背景とした韓国政府が、強硬姿勢で北朝鮮を屈服させ、謝罪に追い込んだのである。

 (参考記事:【動画】吹き飛ぶ韓国軍兵士…北朝鮮の地雷が爆発する瞬間

 金正恩党委員長が、大きな屈辱を味わったであろうことは想像に難くない。「核戦力さえ整っていれば」と悔しがったのではないか。実際、北朝鮮側は早くも9月には「謝罪などしていない」と言い始め、合意に含まれていた南北交流の拡大も反故にするのである。

デイリーNKジャパン
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