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「これなら北の方がマシ」韓国社会に幻滅する脱北者たち (2/3ページ)

 そんな彼の心が折れてしまったのは、昨年5月のことだった。レンガ運びの仕事をしたのに、社長から約束された給料が払われなかったのだ。警察に駆け込んだが、社長の言い分ばかりに耳を傾け、自分の訴えが受け入れられることはなかった。

 怒りのあまり警察署で「北朝鮮に帰って記者会見を開いて何が起きたかを洗いざらいぶちまけてやる」と叫んだ。パスポートを申請し、手持ちの現金をドルに両替し、北朝鮮に帰る準備を進めていた昨年6月22日、警察に踏み込まれて逮捕された。国家保安法6条4項(潜入脱出罪)違反容疑だった。

 同年9月に執行猶予付きの判決を受けて釈放されたが、もはや蔚山の町に彼の居場所はなかった。仕事はなくなり、他の脱北者からも避けられるようになった。

 (参考記事:セクハラ・事故死・暴言…脱北者を搾取していた韓国の「偽善会社」

 今年3月、彼はソウルへ行き、韓国キリスト教平和研究所のムン・デゴル神父が営むホームレスシェルターに転がり込んだ。そして「私は朝鮮民主主義人民共和国の公民だ」と書かれた横断幕を持ち、抗議活動を行なうようになった。記者会見を開き、7月には国連のキンタナ国連北朝鮮人権状況特別報告者にも会った。もはや北朝鮮で処罰されることすら恐れていないと語る。

 「韓国人はわたしを愚か者扱いして、脱北者という理由で、同じ仕事をしても同じ額の給料をくれなかった」

デイリーNKジャパン
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