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【大前研一 大前研一のニュース時評】世界から取り残される日本の論文 イタリアやカナダにも抜かれ…致命的な大学のレベル低下 (1/2ページ)

 文部科学省科学技術・学術政策研究所は8日、国内外の科学技術の研究動向を分析した報告書を発表した。2013-15年の各国の大学や研究機関などが出版した自然科学系の論文数の平均をまとめたものだ。

 これによると、世界の研究者に数多く引用されるような注目度の高い論文数で日本は9位となり、前回の7位から順位を下げた。1位は米国で、中国、英国が続く。上位3カ国で全体の半分を占めている。

 03-05年は米国、英国、ドイツに次ぐ4位だったが、今回はイタリアやカナダにも抜かれ、影響力も低下した。

 また、日本の論文数は6万4013件で、米国、中国、ドイツに次ぐ4位となっている。03-05年までは6万7888件で米国に次ぐ2位だった。かつては世界中で読まれるような研究をしている人が多かったわけだ。

 論文の数が示すように、日本はこの20年間で経済の低成長だけでなく、新しいものを創り出す研究開発、高度な研究をしていく能力も衰えている。

 歯止めのかからない科学力の低下傾向に対し、修士や博士を目指す人が減って40歳未満の大学研究者が人材不足に陥っているなど、いろいろな言い訳がされている。しかし、15年の日本の研究開発投資額は約19兆円で、米国の約51兆円、中国の約42兆円に次ぐ3位。それなのにこの体たらくだ。

 研究開発投資の多くは企業の研究費だが、カネが足りないのではなく頭が足りない、あるいは意欲が足りないのだと思う。大学のレベルが低いことも致命的な欠陥だろう。

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