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【高橋洋一 日本の解き方】東芝、シャープ、富士通…日本の電機メーカー苦境のナゼ 円高放置、海外移転で雇用も技術基盤も失われ (2/2ページ)

 業界の栄枯盛衰を書くときに、どうしても個別企業の事情に言及せざるを得ないし、その方が物語としては面白いので、各社に共通するマクロ経済の環境変化、特に家電業界を左右する為替動向は無視されがちだ。

 しかし、業界全体の動きをみれば、いかに円高になってから各社で経営見直しの統合や撤退が行われたかが分かるだろう。ちなみに、家電業界の売上高と為替の相関は8割もある。いってみれば為替相場いかんで業界業績が左右される。円高が放置され続けて、体力のないところから「刀折れ矢尽きた」状態だ。

 そして、円高になると韓国など海外ライバルが競争力をもってビジネス市場を奪ってしまうので、その回復はなかなか難しい。さらに、円高でいったん生産施設を海外に移すと、円安になっても、収益こそ海外投資が好転して何とかなるものの、国内雇用は回復できず国内技術基盤も失われてしまう。

 こうした意味で、09年当時の円高放置は間違っていたと言わざるを得ず、政府と日銀が金融政策に無理解だった罪は大きい。

 ただし、覆水盆に返らずだ。今後日本メーカーについては、例えば、羽のない扇風機や吸引力が落ちない掃除機を開発した英ダイソン社のように、価格競争力でない技術を持った企業が生き残れるのだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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