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【喫煙を考える】国、都、区、それぞれの受動喫煙防止対策 「通報」盛り込む豊島区に識者「監視行為が前提、恐ろしい」

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 2020年東京五輪・パラリンピック開催まで3年を切り、受動喫煙防止対策も待ったなしの状況だ。国による法規制に加え、東京都や豊島区はそれぞれ独自の条例制定を目指している。

 東京都議選に大勝した都民ファーストの会は、「スモークフリー社会」についての基本政策の中で、「自ら環境を選択できない子どもを受動喫煙から守る条例をつくる」という公約を掲げ、家庭内や自家用車内での喫煙も制限する方針。

 豊島区はこれに加え、「継続的に受動喫煙を受けていると疑われる子どもを発見した者は、区または保健所、子ども家庭支援センターに通報することができる」という内容も盛り込んでいる。

 こうした条例案に対し、「やりすぎ」と反発の声も少なからず上がっている。行政法に詳しい東海大学名誉教授の玉巻弘光氏は、「子供が密閉された空間でたばこの煙を浴びることは極力避けなければならない」という前提で、「法が家庭のプライバシーに関与する場合、その介入方法と程度が問われる。まるで児童虐待やDVと変わらないかのように喫煙をやみくもに規制しようとするのは違和感がある」と話す。

 特に豊島区の案については、「監視行為を前提とした“通報”が日常の感性として当たり前になることが最も恐ろしい。エスカレートすると、社会や国家の安全のためという名目での密告奨励の萌芽(ほうが)となると考えるのは杞憂(きゆう)だろうか」と指摘する。

 神奈川県の受動喫煙防止条例施行に携わり、現在もたばこ対策推進検討会の座長を務める玉巻氏だが、「市民の健康保全のための法規制は、本来、法律によって全国一律に行うべきで、条例でばらばらに行うことは好ましくない」という。

 ただし「原則建物内禁煙」を目指す政府案に対しては、「店主と従業員が喫煙者で、常連客にもたばこを好む人が多い飲食店など、喫煙環境を経営者の判断に委ねるケースがあってもいいと思う」と柔軟な考えを示した。「喫煙を、ただ悪しきものとして規制するのと、受動喫煙をなくすために屋内でのたばこを規制するのとでは、同じ規制でも目的も形態も異なる。十把一絡げではなく、いろんな立場に立った規制が行われることが大事」というのが基本にある思いだ。(この項おわり)

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