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中国で相次ぐ軍高官の粛清劇 習氏が「私兵集団」形成で軍掌握へ、党関係者「恐ろしさ感じる」

 【北京=西見由章】今秋の中国共産党大会を目前に控え、習近平指導部が中央軍事委員会メンバー4人を失脚・更迭させるなど軍中枢の“粛清”に乗り出した。一方で習氏は、自身の地方指導者時代に関係を深めた軍高官を次々と要職に引き上げており、自らに忠誠を誓う習氏の私兵集団「習家軍」(香港などのメディア)を形成して軍を掌握しようとしている。

 中央軍事委員会(現11人)のメンバーには江沢民元国家主席や胡錦濤前国家主席らが一定の影響力を残していた。軍内人事の完全掌握を狙う習氏は“本丸”に一気に切り込み、盤石の体制で10月18日開幕の中国共産党大会に臨む狙いがありそうだ。

 1日に空軍司令官への昇進が公表された丁来杭・前北部戦区空軍司令官は、習氏が福建省長を務めていた時期に同省に拠点を置く空軍第8軍の参謀長を務めた軍歴を持つ。また習氏が約5年間トップを務めた浙江省の省都、杭州出身で習氏との間に深い地縁がある。

 習氏は陸海空3軍のトップと参謀部門のトップを自派で押さえることになる。今年1月、習氏は10年以上にわたり海軍司令官を務めた呉勝利氏の後任に、南海艦隊司令官の沈金竜氏を抜擢(ばってき)。8月には、統合参謀部参謀長に「戦闘英雄」の称号を持つ李作成・陸軍司令官を昇格させた。

 李氏の後任の陸軍司令官には、福建省を管轄する南京軍区で軍歴を積んだ韓衛国・中部戦区司令官が就任した。

 習氏は地縁などで関係の深い軍人や、実力を持ちながら旧政権に冷遇されてきた軍人を抜擢して自らの「子弟兵」とする手法を駆使している。

 ただ軍の有力者や功績者たちが相次いで失脚すれば、軍内の不安定化を招きかねない。相次ぐ軍高官の粛清劇に「ここまでの衝撃は初めてで恐ろしさを感じる」(党関係者)と軍や党内部では不安の声も上がっている。

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