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【富坂聰 真・人民日報】90年代半ばに実質的効力喪失した中朝の「友好協力相互援助条約」 大真面目に議論する日本が心配 (1/2ページ)

 先週、中朝友好協力相互援助条約が実際にはもう何年も前から形骸化し北朝鮮は中国との同盟を当てにしていないことに触れた。

 なぜ中国はこれを破棄しないのか。答えは簡単である。

 中国は、どんな場合でも朝鮮半島の問題に武力を行使して介入できる口実を失いたくない。これは逆に言えば、北朝鮮のために軍を動かさない理由もゴマンとあるということだ。

 では中朝友好協力相互援助条約は、いったいいつ実質的な効力を失ったのだろうか。

 答えはおそらく1990年代の半ばである。

 中朝友好協力相互援助条約の締結は61年。不思議なのは朝鮮戦争を共に戦った中朝間になぜ8年間も同盟がなかったのか。

 当初、中国は「巻き込まれ」を警戒していたと考えるのが自然だ。だが、中国は次第に冷戦下でも朝鮮半島が平穏であるメリットを考えるようになってゆく。その発想の中心にあったのが経済である。当時、中国経済をけん引する重工業は朝鮮半島に接する東北部に集中していた。つまり朝鮮半島で戦争が勃発すれば、中国が直接当事国とならなくても被害は確実に及ぶと考えられた。

 同時に中国はソ連との関係をこじらせてゆく。その過程でソ連の影響力が北朝鮮に及ぶことをけん制する必要が高まっていったのだ。

 冷戦、ソ連、自国産業の保護が目的だと考えれば、その必要性はソ連の崩壊による冷戦の終結、そして改革開放政策の中で産業が多様化し、生産基地も沿海部を中心に広がった。これにより、中朝友好協力相互援助条約の使命が終わってゆくことも自然な成り行きだった。

 追い打ちをかけるのが中国と韓国の国交樹立と中韓貿易の発展である。反対に北朝鮮との貿易はピーク時の3分の1にまで急速に減速してゆく。

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