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暴力団における「血のバランスシート」は等価交換の原則 (3/3ページ)

 ◆その日、司組長は東京へ

 今回の襲撃によって、抗争事件がついに本格化したのは疑うことのない事実だ。暴力団には「血のバランスシート」という無軌道な論理がある。一人殺されれば、組織内で同程度の人間を殺してようやく、パワーバランスを取れるという等価交換の原則だ。その論理で考えれば、任侠山口組は最低でも亡くなったボディガードと同じ立場の人間を殺さねばならない。脱反社会勢力を公言している任侠山口組は、報復を自粛できるのか。

 さらにいえば、未遂だったとはいえ、今回は組織のトップが狙われている。ヤクザの命は等価ではない。親分の命は、若い衆数人分の値打ちがあるとされる。山一抗争時代の週刊誌は、親分一人の命=若い衆30人分と煽っていた。

 「抗争の実感は、自分と同じ立場の人間が殺されて初めて湧いてくる。襲撃された任侠山口組は、仲間の死によってリアルな憎しみを持っただろう。今回の事件で、抗争が全く異質なものとなった。一気に泥沼化する可能性は十分すぎるほどある」(他団体幹部)

 皮肉なこともある。事件当日の早朝、東京に本部を置く広域団体・住吉会の西口茂男総裁が死去しているのだ。暴力団社会の重鎮で、博徒世代を生きてきた昔気質の親分である。六代目山口組トップの司忍組長は弔問のためにその日、上京していた。

 抗争が激化し死者を出す任侠と神戸、死者を穏やかに弔う六代目。三つ巴となった山口組分裂抗争を俯瞰すると、極めて皮肉なコントラストだ。

 ※週刊ポスト2017年9月29日号

NEWSポストセブン
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