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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】関東全域を襲う内陸直下型地震 人々の記憶に残らなかった西埼玉の被害 (2/2ページ)

 隣接する群馬県でも、関東地震より西埼玉地震のほうがずっと大きな被害を出した。たとえば倒壊家屋は関東地震では50棟もなかったのに、西埼玉地震では150棟を超えたし、死者5人も出た。西埼玉地震での群馬県の被害も利根川と支流の近くに集中していた。

 関東地震のときの揺れの分布図を見ても、東京から埼玉県東部へかけて、揺れが大きかった「帯」が延びている。これは荒川と利根川が長年かかって運んできた軟弱な土が厚く堆積しているところだ。これから襲って来る大地震でも、これらの地域は、また、大きく揺れるに違いない。

 西埼玉地震が人々の記憶に残っていない理由がある。

 ひとつは群馬・長野県境にある浅間山(標高2568メートル)だ。27年ごろから噴火活動がさかんになり、毎年のように爆発を繰り返していた。そして30年には死者6人、31年にも死者3人を出す噴火が続いていた。

 天災ばかりではない。西埼玉地震の4日前には、満州事変の発端となる柳条湖事件が起きている。地震発生当日にも朝鮮に駐留していた帝国陸軍が独断で中国国境を越えて派兵して、国内も騒然となっていた時期だったのだ。つまりメディアや人々の関心は西埼玉地震からすぐに離れてしまったのである。

 しかし、忘れてはいけない。関東地方のどこにも、これから襲ってくる内陸直下型地震の危険はあるのだ。昔とは比較にならないくらい多くの家が建ってしまっただけに、地震への弱さがことさら心配になる。 

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『完全解説 日本の火山噴火』(秀和システム)。

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