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【勝負師たちの系譜】渡辺明氏にあった竜王位との見えない絆 羽生氏から3連敗喫するも、初の逆転防衛 (1/2ページ)

★渡辺明(1)

 渡辺明と言えば、タイトルを奪われている時でさえ、つい「竜王」と呼んでしまうほど、竜王位とは縁が深い。現在は竜王・棋王の二冠である。

 竜王戦は29期のうち、渡辺が11期優勝していて、唯一の永世称号保持者。これを追う羽生善治棋聖・王座が6期と続き、今回挑戦者となって10月から七番勝負が始まる。

 渡辺が最初の竜王になったのは2004年、20歳、六段の時。時の竜王は森内俊之九段だった。

 森内絶対有利の下馬評をよそに、七番勝負は拮抗し、3勝3敗で迎えた最終局の立会人が私だった。暮れも押し詰まり、庭の池が雪化粧となった新潟・六日町の「龍言」には多くの報道陣が集まったが、この時点ですでに、新竜王誕生を期待するかのような雰囲気があった。

 森内が投了した直後の渡辺の、上気した表情を私は今でも覚えている。

 この1勝は渡辺にとって、一気に一流棋士となった一局だった。現にそこから竜王戦を9連覇し、誰が挑戦者になっても勝てないという雰囲気を漂わせる棋士となったのである。地位が人を作るとは、正にこのことである。

 圧巻は渡辺にとって5期目となる2008年の防衛戦で、相手は当時、四冠を持つ羽生善治名人。渡辺は勝てば5期連続、羽生は通算7期と、勝った方が永世称号を得るという大一番でもあった。

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