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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】古くて弱い家に住み続けなければならない弱者を大地震は「選択的」に襲う (2/2ページ)

 現在では、多くの自治体で耐震診断や耐震補強も費用を一部は負担してくれる。耐震性のない家屋が地震で倒れて道をふさいだり、火事を出して周囲に延焼したりすると、その家だけではなくて、周囲に影響が及ぶからである。

 だが、たとえ自治体が「一部を負担」してくれても、残りの大部分の個人負担ができず、改良できないままの家屋も多い。

 江戸時代の瓦版では地震を起こした「地震ナマズ」が金持ちや為政者を懲らしめている図があった。

 大地震のあとには富裕な商人が蓄えてきた金を庶民に「再配分」することが行われた。材木商や大工や左官にはじまって釘屋、石灰屋、砂利屋、縄屋、綿屋、桶屋など多くの零細な職業に支払いが行われたのだ。

 もしこの再配分がなければ、大衆による打ち壊しが富裕商人たちを襲う可能性があった。

 だが、現代の地震は様相が違う。現代の地震は、古くて弱い家に住み続けなければならない「地震弱者」を選択的に襲うのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『完全解説 日本の火山噴火』(秀和システム)。

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