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【大前研一 大前研一のニュース時評】スー・チー氏は退くべきだ 国際社会からの批判も高まるロヒンギャ迫害問題 (1/2ページ)

 ミャンマーの少数民族ロヒンギャ迫害をめぐる問題で、同国の実質的トップであるアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相は9月19日、首都ネピドーで演説し、ロヒンギャ難民について「帰還を希望する人の身元確認手続きをいつでも始める用意がある」と語り、国内帰還を受け入れる考えを示した。

 ロヒンギャはミャンマー西部のラカイン州に住むイスラム系の先住民族。約80万人と推計されるが、この8月にロヒンギャの武装集団が警察施設などを次々と襲撃したのをきっかけに、ミャンマーの治安部隊が掃討作戦を開始し、この影響で女性や子供を中心に40万人以上のロヒンギャ難民が隣国バングラデシュに逃れている。

 ロヒンギャ迫害に対する国際社会からの批判も高まり、国連も掃討作戦を「民族浄化」と呼ぶなど非難した。スー・チー氏の演説は英語で行われ、非難を強める国際社会を強く意識したものとなった。

 その一方、仏教徒が多数派を占めるミャンマー国民のロヒンギャに対する反感は根強い。ミャンマー政府もロヒンギャを国民と認めていない。帰還が始まれば、国民の反発を招く恐れもある。

 そんなことも意識したのか、スー・チー氏は「帰還を希望する人の身元確認の手続きを」とは語ってはいるものの、「パスポート(国籍)を与える」とは言っていない。

 この深刻なミャンマーの問題は、ロヒンギャの人たちがミャンマー人として国籍を与えられるところまでにならないと、解決しないだろう。ロヒンギャはイスラム教徒だからと、劣勢民族の扱いをしているかぎりは何も進まない。

 ミャンマーは複合民族国家で、ビルマ人が人口の3分の2を占め、1割以下のシャン人、カレン人、ラカイン人、中国人、インド人…と続く。いくらビルマ人1強といっても、複合民族国家という視点に立たないかぎり、うまくいかないだろう。

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