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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】エベレストの高さが変わった? 年々高くなるヒマラヤの山々、山頂はかつての海底 (2/2ページ)

 この持ち上がりは南からやってきたインドプレートとユーラシアプレートが押し合ってせり上がって起きたものだ。

 いまでもインドプレートが押してきている。このためヒマラヤの山々は年に平均で約5ミリずつ高くなっている。大地震があって崩壊などしなければ、エベレストの高さも、どんどん高くなっていっているのである。

 インドプレートが北上している速さは年に5~7センチほどだ。この一部が高さの変化になっている。5~7センチの速さとは、フィリピン海プレートが日本に衝突してくる速さよりは少し大きい。

 そして、このプレートの衝突は地震も起こす。7万人の犠牲者を生んでしまった2008年の四川大地震(M7・9)や、やはり7万人の犠牲者が出た2005年のパキスタン大地震(M7・6)など、多くの地震も起こし続けている。日本で恐れられている南海トラフ地震もやはりプレートの衝突で起きる。

 ネパールでも、2015年の大地震以前にも、1934年にはM8・4の地震で1万人以上、1988年のM6・6の地震で1500人近くが死亡している。ネパール、パキスタン、中国などヒマラヤの周辺国では、このように繰り返し大地震に襲われているのだ。

 世界最高峰の雪山。眺めるには見事な山だ。だが、その高さを作ったメカニズムは、同時に大地震も起こす。それが地球物理学が示す冷厳な事実なのである。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『完全解説 日本の火山噴火』(秀和システム)。

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