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【高橋洋一 日本の解き方】ノーベル賞学者の政治利用と、日本の「御用経済学者」たち 重要なのは正しい景気判断だ (1/2ページ)

 今年のノーベル経済学賞は、米シカゴ大のリチャード・セイラー教授が受賞した。

 セイラー氏は心理学出身で、「行動経済学」の業績で受賞した。行動経済学とは、心理学を取り入れて「人はみな自己利益のために完全に合理的に意思決定する」という合理的経済人の仮定を問題として、その仮定を現実的な仮定に置き換えて分析する学問だ。2002年の米プリンストン大のダニエル・カーネマン教授も行動経済学で受賞している。

 行動経済学の話は一般受けするが、この話をすると、広告業界の人はみんな知っていることだとし、「それなら自分もノーベル賞を取れる」という話で盛り上がる。

 かつてある証券会社のCMでも放送されていたが、「決定回避の法則」と「現状維持の法則」があるという。

 前者は「人は選択肢が多くなると逆に行動を起こせなくなる」というものであり、後者は「人は選択肢が広がり過ぎると、かえって普段と同じものを選んでしまう」というものだ。誰もが思い当たるフシがあることだろう。

 こうした習性を広告業界の人は知っているので、消費者に別の商品に乗り換えさせるためには、2つ3つの少ない選択肢を示す。また、その商品をもっと使わせたい時には、大量の他の商品を見せて判断させるのを面倒くさいと思わせると、消費者は従来の商品を選択する。

 この例では、選択に時間やコストがかかるから同じ商品を選択した、と「合理的」に考えることもできる。