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【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】300年続いた王朝を滅ぼした火山の大噴火、ようやく解けた歴史上の“ナゾ” (1/2ページ)

 古代エジプト最後の王朝のプトレマイオス3世が、優勢だった軍事攻勢を突然、中止した。紀元前245年のことだ。

 だが、その理由は分かっていなかった。相手は宿敵セレウコス朝。現在のシリアとイラクに当たる地域を中心に栄えていた。

 そして、その後、プトレマイオス朝は滅亡する。

 もともとプトレマイオス朝が栄えた背景には、広大な穀物畑があった。これは、毎年起きるナイル川の夏の洪水が農産物に適した栄養豊富な泥を運んできたことと、9月に川の水が引いた後は、水路と堤防を作って水を貯蔵していたことによる。

 戦争の中止と王朝の滅亡。この歴史上のナゾは、この10月に発表された論文でようやく解けた。火山の噴火が原因だった。

 近くに火山がないエジプトでも、火山の大噴火がはるかに離れた文明を滅ぼしてしまったのだ。

 紀元前3世紀と紀元前1世紀に過去2500年で最大級の噴火が起きた。起きた場所はエジプトよりも東にあるアフリカ東部を南北に貫く大地溝帯(だいちこうたい)。ここはプレートが生まれていずれ海ができるところだ。多くの火山が並んでいる。

 この噴火は、噴出物が空を覆っただけではなく、現在エチオピアになっているナイル川の源流が枯れ、穀物の不作を引き起こした。

 そのためプトレマイオス朝は食糧難に苦しみ、国内で大規模な反乱が起きた。こうして、軍の戦場からの撤退をやむなくさせたのだ。

 そのうえ2度目の大噴火が起きた。こうして約300年間続いた王朝は滅びてしまった。古代世界で最も農業生産性が高かった地域を大噴火がすっかり駄目にしてしまったのだ。

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