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正恩氏、なぜ沈黙の50日間 嵐の前の静けさ…次の挑発への備えか

 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮が9月15日に中距離弾道ミサイル「火星12」を日本越しに発射して以来、軍事的挑発が50日間確認されていない。米国がトランプ大統領の日韓中歴訪を前に、空母3隻を展開するといった圧迫が奏功しているとの分析に加え、大きな挑発に備えた「嵐の前の静けさ」との見方もある。

 米韓当局は9月末から、平壌郊外の兵器工場などでミサイルを積んだ移動式発射台を搬出するといった動きを頻繁に捉えていた。火星12や大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」、発射したことのない新型ICBM「火星13」の可能性が指摘されている。

 朝鮮中央通信は4日、論評で「核戦力完成の終着点に達したわれわれとの非核化協議は夢にも見てはならない」と米国を牽制した。

 米軍はロナルド・レーガンなど原子力空母3隻を西太平洋に展開。B1戦略爆撃機を繰り返し韓国上空に飛来させるなど、北朝鮮に圧倒的軍事力の差を見せつけてきた。米誌は9月の火星12の発射の際、日本海を哨戒中の米艦に巡航ミサイル、トマホークの発射準備命令が下されていたと報じた。北朝鮮にとっても不用意な方向に発射したミサイルを米軍に迎撃され、衝突に発展するリスクを避ける必要がある。

 トランプ氏のアジア歴訪中のミサイル発射が警戒される一方、韓国政府関係者は「訪中前に挑発に出れば、トランプ氏が習近平国家主席に一層の対北圧力を迫る絶好の口実を与えることになる」と指摘する。

 韓国の情報機関、国家情報院は、国連制裁が徹底されれば、来年以降、200万人以上が餓死した1990年代と同水準の経済難に陥ると予測。ICBMを完成させ、米に体制の保証を迫るまで金正恩朝鮮労働党委員長に残された時間には限りがあり、タイミングを計ってミサイル発射に出るとの観測が強まっている。

 その場合、火星12や火星14の太平洋側への発射のほか、火星13の初の試射が想定される。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を含め、複数のミサイルの同時発射も警戒されている。

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