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【大前研一 大前研一のニュース時評】米中FTAできる可能性の匂いプンプン 両国が入っていないTPPに効力あるのか (2/2ページ)

 署名式に出席した習氏は、今後5年間で中国への輸入額が約900兆円になるという見通しを示した。一方、トランプ氏も訪問先の中国・北京で、米中の企業経営者らを前に「米国は中国に対して多額の貿易赤字を抱えているが、この貿易不均衡について中国に責任はない。貿易不均衡の拡大を防げなかった過去の米国政権を責めるべきだ」と例によってオバマ、ブッシュ父子などを責めるスピーチでお茶を濁した。

 このように、中国の大盤振る舞いに、選挙戦で諸悪の根源は中国だ、とまで言ったトランプも声もなしという状況になっている。ということで、TPP参加11カ国が騒ぎすぎると、中国側から「米国はNAFTAも抜けて、中国との二国間自由貿易協定(FTA)締結をしたほうがいい」と働きかけることも考えられる。

 もともとトランプ氏は、TPPやNAFTAよりも二国間協定を重視している。著作権の保護期間など知的財産関連でもめるかもしれないが、二国間協定で一番効き目があるのは米国と中国だ。米中のFTAができる可能性はプンプン匂う。その先には、中国が提唱するAIIB(アジアインフラ投資銀行)への米国加盟の可能性もある。

 そうなると、日本もあからさまに肩すかしを食らうわけで、TPPの新協定の締結は何か気が抜けたというか、気合が入らなかったように思えた。

 ■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。

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