記事詳細

北朝鮮、米に一歩も引かず 在韓米軍撤退狙い続く神経戦 新型ICBM発射

 【ソウル=名村隆寛】新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」発射に踏み切った北朝鮮は「国家核戦力完成の歴史的大業、ミサイル強国の偉業実現」を政府声明で宣言した。核・ミサイル開発で米国に譲歩せず、あくまでも核保有を認めさせる構えだ。

 今回のミサイル発射について韓国では、朝鮮半島周辺に展開していた米原子力空母が離れた時期を選んだとの見方が支配的だ。日米韓などの警戒が続くなか“沈黙”を続けた北朝鮮は、ミサイル技術を向上させ発射のタイミングをうかがっていた。

 北朝鮮は過去最高の高度の発射により、米本土に届くというミサイル能力の向上を米韓などに誇示。同時に初めて未明の発射で、24時間いつでも発射可能な奇襲能力を見せつけた。

 米国の強硬姿勢に対し武力挑発や恫喝(どうかつ)を繰り返している北朝鮮は、朝鮮半島での武力衝突に反対する韓国の世論状況を把握し、現段階で米国がうかつに手出しはできないと考えているようだ。

 国際社会から制裁を受けている北朝鮮がこのままでは、経済的にさらに苦境に追い込まれることは必至。だが、金正恩(キム・ジョンウン)政権は人民を見捨てても、米国が折れるまで核・ミサイル開発は放棄しない構えだ。政権の維持、生き残りへの唯一の道とみなしている。

 金正恩朝鮮労働党委員長の究極の目的は、金日成(イルソン)、金正日(ジョンイル)と3代引き継ぐ、米国との平和協定締結を経ての「在韓米軍の撤退」である。それには米国を交渉の場に引き出す必要がある。米国との交渉に応じることがあっても、北朝鮮にとっての議題は核の放棄ではなく米国の脅威の除去(在韓米軍の撤退)しかない。

 今後も北朝鮮が挑発の段階を上げ続けることは間違いなく、「来年にも核開発の完成を宣言する」(趙明均(チョ・ミョンギュン)韓国統一相)可能性は高い。軍事的な圧迫を受けても一歩も引かない姿勢を示した北朝鮮。米国の動向を見定めた伝統的で危険な神経戦は今後も続く。

zakzakの最新情報をSNSで受け取ろう