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朝鮮総連 不可解な本部ビル奪還 「公的資金もうやむや」

 長年、北朝鮮の独裁体制に強く従属してきた朝鮮総連。多額の資金を本国に送金する“集金マシン”の役割を果たしてきたとされるが、日本側による実態解明にあらがう動きを繰り返してきた。不透明な経過をたどった中央本部ビルの売却をめぐる問題も、その一つだ。

 朝鮮総連傘下の金融機関だった朝銀信用組合の約627億円の不良債権をめぐり、最高裁が中央本部の土地・建物を朝鮮総連の資産と認定したことを受け、平成24年、RCCの申し立てで競売が行われた。ところが、不可解な動きを繰り返した末、最終的に朝鮮総連は本部ビルの“奪還”を果たすことになる。

 最初の競売では、鹿児島県の宗教法人が朝鮮総連の退去などを条件に約45億円で落札。「朝鮮総連に一定期間貸す」との考えを示したが資金調達の不調により最終的に落札を断念した。

 2度目の入札では、モンゴル企業が約50億円で落札したが、登記などから実体に不審点が多く東京地裁は売却を不許可に。次点の高松市の不動産会社が約22億円で落札した。

 高松市の不動産会社は当初、転売や賃貸を否定したが、朝鮮総連幹部や総連側とつながりがある元国会議員が接触。この議員の仲介で、山形県の倉庫会社へ約44億円で転売された。転売先の倉庫会社も実体が疑問視され、44億円の資金は朝鮮総連側から流入したとの指摘がある。その後、倉庫会社は本部ビル管理事業を分社化し、トップには朝鮮総連関係者が就任。登記で所有者は変わったが、朝鮮総連は競売で一時、手放した本部ビルを実質的に取り戻した。

 日本と外交のない北朝鮮にとって、総連本部は事実上の大使館といえる重要拠点で、公安関係者は「北朝鮮から本部ビルの『死守』を厳命されていた」と話す。拉致や核・ミサイル問題などで批判が強まり、組織が揺らいだうえ、送金や輸出入を封じる経済制裁で集金マシンとしての存在感も薄れる中、総連は「あらゆる手立てを尽くして死守を実現した」(公安関係者)形だ。一方、別の関係者は「本部を確保しただけでなく、莫大(ばくだい)な債務を44億円で収めた。結果的に、約1・4兆円の公的資金が投入された経緯もうやむやだ」と指弾する。

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