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外交官の私は流暢な日本語の中国美人スパイに誘われた! (1/3ページ)

 同志社大学嘱託講師の村上政俊氏は外交官時代に留学していた中国で、研究員を名乗る美女から目的不明のアプローチを受けたという。あくまでも自然に接近してくる中国スパイの手口を明かす。

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 中国でその美女と遭遇したのは日本にも店舗を構える北京ダックの名店、全聚徳だった。西太后が権勢をふるった清朝末期創業の老舗は、周恩来がキッシンジャーを迎えた外交の舞台ともなり、店内にはこれまでに訪れた外国首脳の写真が所狭しと並べられている。

 店頭で客を出迎えるかわいらしいアヒルの人形は、これから北京ダックを食そうという人々の罪の意識を和らげているだけでなく、この店と政治外交とのえもいわれぬ深い結び付きをもカモフラージュしているかのようだ。

 当時私は在中国日本国大使館外交官補として北京大学国際関係学院に留学中だった。外交官補は明治憲法時代から続く伝統ある官職。見習いの外交官に与えられる。

 北京大学周辺は、中国の理科系最高峰で習近平を始め政界にも多くのOBを擁する清華大学、外国語教育の中心・北京語言大学などが密集する文教地区だ。

 その一角にある全聚徳清華園店。グーグル北京オフィス(*1)から目と鼻の先の北京ダック屋にこの日集まったのは、私の留学先である国際関係学院と日本のシンクタンク関係者だった。

 【*1:当時。その後中国政府と検閲を巡って争い撤退を余儀なくされた。】

 大学で開かれた研究会の打ち上げと位置づけられていたこの宴席。私はセミナーへの参加からの流れで出席した。個室にはいくつかの円卓が並んでいた。円卓を囲んで酒をあおるのが中国流の宴会だ。

 私が何気なく選んだ席の隣に座ったのが王小姐だった。日本男子にも受けがよさそうな細身の美女だった。色白で年の頃は二十代か。流暢な日本語を操る彼女だったが日本には行ったことがないという。

 日本に住んだことがないのに日本語が驚くほどうまいという中国人はたくさんいる。その昔、電子辞書がない時代には紙の辞書を最初から最後まで丸暗記する学生がいたというから、その熱心さには頭が下がる思いだ。しかしその動機がスパイとなるためだったとしたらどうだろうか。

NEWSポストセブン
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