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元宮司手紙で名前挙げられた直木賞作家が緊急寄稿「事実無根」「心得違いの者がおかした愚行」 (1/2ページ)

 元宮司が姉の宮司を殺害する事件があった東京都江東区の富岡八幡宮。直木賞作家の山本一力氏(69)は多くの時代小説で富岡八幡宮を描くなどゆかりが深いが、容疑者が犯行直前に残した文書には「週刊誌に醜聞を書かせた」として、なぜか山本氏の名前が挙げられていた(別項)。山本氏は夕刊フジへの緊急寄稿で「事実無根」と完全否定したうえで、富岡八幡宮への思いを明かした。

 富岡八幡宮の真横、今回の事件現場すぐ近くに越したのは、1994年6月だった。

 当時は小説新人賞の応募原稿を書いていた。募集締切が近い、6月4日の早朝5時。八幡宮から太鼓が轟いてきた。

 音に驚き、朝ぼらけの通りに出た。八幡宮鎮守の森で濾過(ろか)された、まだ手つかずの空気が、町にかぶさっていた。

 鳴り続ける太鼓に導かれて境内に入った。社殿前まで進んだら、両側の狛犬が目に入った。

 台座の年号は、享保十二(1727)年と彫られていた。

 石段両側の狛犬は、まぎれもなく江戸時代のものだ。堂々と鎮座した姿に接した瞬間、そのとき書いていた原稿の嘘っぽさを痛感した。

 300枚近く書いていた原稿を引きちぎり、あたまから書き直した。

 締切の6月末に仕上げて提出したが、落選。

 しかしこの早朝の体験が、以後の小説執筆の源となった。

 神職に仕える禰宜(ねぎ)・権禰宜(ごんねぎ)各位は、常に背筋を伸ばして境内を行き来しておいでだ。

 売店の売り子女性は、境内で遊ぶ土地のこどもを気に掛けている。

 落ち葉を掃除している方は、一枚も見逃すまいと瞳を開いている。

 八幡宮に仕えるだれもが神を畏れ、敬っておいでなのが伝わってくる。

 土地の者は老若男女を問わず、社殿前でこうべを垂れて行き過ぎる。

 あるとき、長老からふたつのことを教わった。

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