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「不適格」ビル、全国に 築50年、窓少なく階段狭い…改築進まず 風俗店火災1週間 

 さいたま市大宮区の性風俗店「Kawaii大宮」で5人が死亡した火災は、24日で発生から1週間。建物は築50年以上が経過し、窓の少なさや階段の狭さなど構造上の問題に加え、防火設備が現行法の規定を満たしていない疑いがあり、被害が拡大した可能性がある。同様の建物は各地にあり、悲劇が繰り返される火種は残ったままだ。

 火災では3階建て建物延べ約170平方メートルが全焼。従業員や客ら男女5人が一酸化炭素(CO)中毒などで死亡した。火元は2階のごみ置き場とみられる。

 市によると、同店がある風俗街「大宮北銀座」には同様の店が17施設ある。大半が昭和40年代に建設され、同店も40年に建てられた。老朽化しており、窓が少ない上、階段は傾斜がきつくて1人しか通れないほど狭い。

 同店は昨年6月のさいたま市消防局による立ち入り検査で明確な消防法違反はなかった。一方で建物は、現在の建築基準法の規定には適合していない「既存不適格」の建築物で、排煙設備などに不備があった疑いもある。ただ、こうした建物は違法ではないため、増改築の申請がなければ行政が確認することはなく、そのままの状態で使われるケースが多い。

 同様の建物が集まる風俗街は各地にあり、自治体が風営法や条例で新築・増改築を認めない地域もあるが、大宮北銀座は埼玉県公安委員会などの許可があるため増改築は可能だった。風俗店関係者は、老朽化したまま営業を続けている背景として、「(増改築の)費用がネックになっているのでは」と話す。

 風営法に詳しい若林翔弁護士は「風営法は店舗型の風俗店をなくすのが趣旨」と説明。風俗営業が許可される地域でも、病院や学校など「保全対象施設」が近くにあれば、新規出店や増改築はできず老朽化しがちで、「店舗型は耐震、防火面で危険」と指摘する。

 建築防火が専門の長谷見雄二・早稲田大教授は「(今回の店のように)遮音性が高い小部屋がひしめく施設では、火事で死傷者が多く出る危険性がある」と話し、施設運営者と利用者が細心の注意を払うよう求めた。(宮野佳幸)

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