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事件や事故の実名と写真報道 ネット普及で議論に (1/3ページ)

 事件や事故が起きると、被害者の氏名と顔写真が報じられるのが常だ。どうしても近影が見つからず、30代なのに中学の卒業アルバム写真が使われることもある。SNSが普及した現在、氏名と顔写真の報道は必要ないという意見もある一方、事件や事故を忘れてほしくないと、たとえば「娘のいちばんかわいい姿を」と遺族が報道陣に写真を提供することもある。氏名と顔写真を報じる必要はあるのか。風俗関係者への取材をすることが多いライターの宮添優氏が、実名報道について考えた。

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 従業員の女性4名、客の男性1名、計5名の犠牲者を出した埼玉・大宮で発生したソープランド火災。

 火災が発覚し、鎮火もまだのタイミングで女性2名と男性1名の死亡が確認されると同時に、ツイッター上に散見されたのは「名前を出さないで」という、風俗店勤務の女性らによる訴えだった。

 「店の従業員と客、と報じられていました。ソープランドの従業員とそのお客、ということは誰にでも理解できる。だから、決して名前を出してほしくないと願いました」

 こう話すのは、ツイッター上で「名前を出さないであげて」とつぶやいていた綾子さん(仮名)だ。綾子さん本人も現役の風俗店従業員であり、親や知人には内緒でかれこれ3年ほど働いているという。

 「風俗で働く子は、特別な事情を抱えている場合が多い。半分以上の子が、親族や知人に黙って働いていますし、私だってそう。もし私が勤務中に死んだというニュース報道で、親に風俗で働いていたことがバレたとしたら……。誰も得することはなく、みんなが悲しいと思う」(綾子さん)

 しかし、綾子さんらの願いは叶わず、民法キー局や全国紙の一部が、被害者の年齢や実名、居住地などを公表した。この対応について、ネット掲示板上では「血も涙もないテレビ・新聞」とマスコミ叩きが盛大に繰り広げられた。さらに、実名を公表したメディアの全てが、その後匿名報道に切り替えたことも、大炎上に油を注ぐ形となった。

NEWSポストセブン
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