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【高橋洋一 日本の解き方】あなたの給料が上がる日 全業種の3%賃上げ実現へ、人手不足本格化が契機になる (1/2ページ)

 アベノミクスの金融緩和の影響で雇用は改善が続き、人手不足になっている一部の業種では賃金の上昇が始まっている。日本経済全体では、消費を大きく改善させるまでの賃上げの状況には至っていないが、今後の施策次第では、労働者の多くが賃金上昇の果実を手にすることも十分可能な段階にきている。

 賃金上昇の前提条件である雇用については、個々の企業や業種などミクロ経済の視点から語られることが多いが、重要なのは、経済全体を扱うマクロ経済の状況だ。

 マクロ経済では、インフレ率が上がるほど失業率は下がることが知られている。かつてほど安定的な関係にはみえないが、いまなお有効な概念だ。ただ、インフレ率がいくら上がっても失業率はゼロにはならず、一定水準以下には下がらなくなる。これが、いわゆる「構造失業率」と呼ばれるものだ。日本では2%台半ば、米国では4%程度と算出される。

 政府や中央銀行は、構造失業率を達成できるインフレ率を「インフレ目標」に設定することが多い。日本も米国も目標は2%である。この意味で、インフレ目標を達成するまでは、現実の失業率は下がり得る。逆に、インフレ率が目標を大きく上回っても失業率は一定以上は下がらず、インフレ率だけが高くなってしまう。

 これを雇用の面から見ると、失業率が構造失業率まで下がっていないとまだ働ける労働力があることを意味する。その場合、失業状態だった人は総じて安い賃金で働くため、国民の総所得は増加するが、平均賃金は低下することもある。

 雇用が伸びて一部業界での賃金は上がるものの、平均賃金の伸びは今一歩というのが日本のこれまでの状況だといえる。

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