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【勝負師たちの系譜】「升田式石田流」を世に出した1971年の名人戦七番勝負 升田幸三の一手は永久に残る妙手に (1/2ページ)

★升田幸三(3)

 升田幸三実力制第四代名人の棋神とも言える時代は、3年ほど続いたものの、1958年からは大山康晴15世名人の巻き返しを許し、タイトルをすべて手放すことになる。

 その後は、九段戦から発展解消した十段戦でも第1期から3期まで、フルセットに近い戦いを演じるなど、タイトル戦には幾度か挑戦したが、残念ながら升田がタイトルを手にすることはなかった。

 しかし升田将棋の魅力である独創性は、現役の間衰えることはなく、ファンや後輩棋士を大いに引き付けた。大山とて新手を指さないわけではないのだが、地味な手や受けの手が多く、人気としては升田に後れを取った。

 その独創性で後世に残るのが、1971年の最後となった名人戦七番勝負。升田、53歳の時である。

 このシリーズで升田は『升田式石田流』を世に出した。角道を止めない三間飛車というのは、初心者用のハメ手の本には載っていても、プロに通用する戦法ではないとされていた。それを升田は第2局から連採し、一時は3勝2敗まで追い詰めたのである。

 しかも第3局で見せた△3五銀という銀のタダ捨ては、中原誠16世名人の▲5七銀(名人戦)、羽生善治竜王・棋聖の▲5二銀(NHK杯)と共に、永久に残る妙手として記憶される一手となった。

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