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【大前研一 大前研一のニュース時評】安倍首相のバルト・東欧訪問は外務省の「浅知恵」 今後につながる成果なく (1/2ページ)

 安倍晋三首相は12日からエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国とブルガリア、セルビア、ルーマニアの東欧3カ国を歴訪し、17日に帰国した。バルト3国を日本の首相が訪問するのは初めてだが、このバルト3国の訪問、それほど大きな意味はなかったのではないか。

 国境を接するロシアに対し、バルト3国の反感は強い。第2次世界大戦ではソ連に強制的に併合されたという歴史もある。「人間の鎖」で連帯を示してソ連から分離独立したあとも常にロシアの脅威にさらされている、と感じている。現在は3国とも北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)のメンバーで、ロシアのウクライナ南部クリミアの併合後、欧米の対露抑止の最前線になっている。

 一方、安倍首相は北方領土交渉でロシアから良い答えを引き出したいから、プーチン大統領と17回も会い、強い絆を強調している。このロシア政策はバルト3国からは「融和的」と思われている。安倍首相の訪問でこの思いが変わることはないだろう。

 エストニアを除く残りの5カ国は北朝鮮と国交を結んでいることから、安倍首相は今回の訪問で、各国の首脳に北朝鮮への圧力強化でも連携を求めた。エストニアでは「北朝鮮はタリンも射程に収める弾道ミサイルを発射している」と、わざわざ首都の名前を挙げて危機感を訴えた。

 だが、バルト3国にとっては、ロシアの短距離ミサイルが何千発もあることのほうが大問題で、北朝鮮からの弾道ミサイルがバルトの小国を狙うとはまったく考えていないし、興味も持っていない。こういうことを言わせたのは外務省の連中の浅知恵だろう。センスの悪さを感じる。

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